『ロード・トゥ・パーディション』(原題:Road to Perdition) 2002年、アメリカ
監督:サム・メンデス
撮影:コンラッド・L・ホール
出演:トム・ハンクス、ポール・ニューマン、ジュード・ロウ、タイラー・ホークリン、
   ダニエル・クレイグ、リアム・エイケン、ジェニファー・ジェイソン・リー、
   キアラン・ハインズ、スタンリー・トゥッチ、ディラン・ベイカー 他
物語:妻と2人の息子と共に暮らすマイケル・サリヴァンは、良き夫・良き父でありながら
   アイルランド系マフィアの殺し屋という裏の顔も持っていた。マフィアのボスである
   ジョン・ルーニーは、サリヴァン一家を自分の家族のように溺愛していたが実の息子である
   コナーに対しては冷ややかで、コナーはそれを苦々しく思っていた。ある日、組織の幹部会で
   父から激しく自分のミスを攻め立てられたコナーは、父への恐れと、そんな父に自分以上に
   溺愛されるサリヴァン一家への嫉妬と憎悪の念を抱くようになる。そして・・・

(映画☆☆☆☆☆、ダニクレ度☆☆☆☆☆)

退廃的でどこか危なげな状態で煙草を吸いながらダランとして独特の色気もある姿で登場するダニクレは名優・ポール・ニューマンさん演じるジョン・ルーニーの息子コナー役。サム・メンデス監督のコメンタリーによると、世界中で有名なブルーの瞳の名優(ポール・ニューマンさん)の息子役だからダニエル・クレイグをキャスティングしたんだ、との事。そうだよね、もう、ダニエルさんしかいないよね、クレイジーブルーなダニエルさんしかいませんよ、はい。

ピアノの連弾をしているポール・ニューマンさんとトム・ハンクスさん(マイケル・サリヴァン)を笑顔で見つめていると、サリヴァンの幼い息子が「なんでいつも笑っているの?」って聞くんですよ、この場面・・めっちゃ怖かった。そんな無神経な質問するなよ、コナーの複雑な気持ちわかんないんだな、そんなこと言ったら、どんどん怖いことになっちゃうよっていうハラハラさせる空気感が半端なかった。

父の前で謝りながら体を丸めるダニクレ・・そんな彼に対し、ポール・ニューマンさんはお前が生まれたことを恨むって酷いことを言いながら叩きまくりながら、はっと我にかえり抱きしめる・・・でも、もう遅いよ、父ちゃん。すっかりコナーはいじけて捻くれてしまったよ・・

映画的にはダニクレさんは悪役だし、やったことは許されないけれど、どこかね、彼の繊細な演技もあり同情させるものがあるというか。そりゃ、皆の前であんな風に叱られたらさ、ただでさえ、普段からあっちばっかり溺愛しているんだもん、コナーくんの立場的には、そうなるよな・・って思わせてしまうものがあり、めちゃくちゃ印象に残るし、彼のラストになる鏡越しの風呂場のあそこね、一瞬しか映らないのに、なんだか色っぽい・・悲惨な姿なのに色気放ちまくり。雨の中の帽子とコート姿も素敵だったしね。

1本の映画としても話はシンプルだけれど、俳優たちが皆渋くて映像がどこを切りとっても芸術的で、色合いもシックでいいんですよ。まるでエドワード・ホッパーの絵の世界みたいだと思いながら観た後にコメンタリー付きで観てみたら、まさに監督がホッパー的なものを目指したと言っていて、やっぱりそうなんだ!!と思ったり。ジュード・ロウさん演じる殺し屋もユニークで、なかなかヨカッタ。いつかこんな役でダニクレさんに登場してほしい。

ポール・ニューマンさんとダニエル・クレイグさんの二人が親子という役柄で繋がっている映画、今となってはなかなか貴重だと思う。ポール・ニューマンさんは『明日に向かって撃て』や『スティング』よりも『Cool Hand Luke』の笑顔のイメージも強い。『ハスラー』も好きだった。サム・メンデス監督とダニクレさんの『スカイフォール』を知らずに逝ってしまった。涙。

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