<あらすじ>
劇団「海」の研究生・三田静香は、女優としての幅を広げるため、先輩俳優の五代淳と一晩過ごした。翌朝彼女は、不動産屋に勤める森口昭夫という青年と知り合いいつしか恋人同士になるが恋愛よりも芝居に打ち込む日々が続いていた。そんな矢先、看板女優・羽鳥翔のスキャンダルの身代わりになったことで転機到来。静香は「海」の次回作公演『Wの悲劇』のヒロインの座を手に入れるが・・
薬師丸ひろ子、世良公則、三田佳子、 高木美保、三田村邦彦、
蜷川幸雄、仲谷昇、清水紘治、南美江、志方亜紀子、内田稔、藤原釜足、
西田健、香野百合子、日野道夫、草薙幸二郎、堀越大史、野中マリ子、
梨元勝、福岡翼、須藤甚一郎、藤田恵子 他 出演
澤井信一郎 監督作
<感想>
なかなかいいなと思うのは原作をそのまま映像にしても
まったく映画にならない話だから、いっそ劇中劇にしてしまって、
他の部分は完全に映画オリジナルの話にしてしまうというアイデア。
そして、その劇中劇の内容とオリジナルの話での関係性が
重なっているというのもウマイ作りだなと感心してしまう。
だけれども、そのオリジナル部分の主役の恋人同士が
ありえないふたりで、表現も以前観た時から古すぎたし
今観たら尚更古いクサイし、もうね、
どうしていいのかわからなくなる(笑)
けど、そのことを吹き飛ばすがごとくの三田佳子さんの存在は
年月がたっても、迫力満点。これ、演技と言うか
もう本人そのものなんじゃないかって思ってしまうくらい(笑)
劇中劇での蜷川さんも自分自身を演じてくれていて、
ちゃんと台本投げてくれるし(笑)サティの曲が流れると、
あぁ、蜷川さん!って、テンションあがりました。
それとクサイクサイとはいえ、世良さん演じる青年の告白で
友達の病室でここはもっと泣いた方がいいのではと思ってしまう
もう一人の自分についての話は俳優に限らず
人間なら誰しもある感情なのではないのかなと思ったり。
なので、ラストに薬師丸さんが
「もうひとりの自分とうまくつきあっていくわ」というのは
とても好きなセリフでした。
つっこみどころ満載なのに、なんだか愉しい。
この映画のネタだけで長い時間をつぶせてしまう(笑)
そういう意味では愛すべき映画なのです。
*2017年2月の或る日、映画館で。
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