<あらすじ>
6歳だったマロニーは2ヶ月も学校を休んでいることで母親と共にフローランス判事から裁判所に呼び出される。責められて逆上した母親は判事にマロニーを「くれてやる!」と叫ぶと息子を置いて立ち去ってしまった。それから10年、成長したマロニーは問題ばかり起こし再び判事から裁判所に呼び出される。判事は彼に教育係をつけ児童教育支援を受けさせることにしたが・・
カトリーヌ・ドヌーヴ、ロット・パラド、ブノワ・マジメル、サラ・フォレスティエ、
ディアーヌ・ルーセル、エリザベート・マゼヴ、エンゾ・トローレット、アンヌ・スアレ、
クリストフ・メネット、マルタン・ロワズィヨン、ルーシー・ファーシェマル、カトリーヌ・サレ、
リュドビック・ベルティロ、マイケル・マゼロ、マリー・フェモンテス 他 出演
エマニュエル・ベルコ 監督作
<感想>
どこへ行っても居場所がない時はどうしたらいいのだろう。
生まれてきたことを非難されるだけの人生だったら
どこを歩けばいいのだろう。
ぶつかっては叫び暴れてしまうマロニー。
彼の母親もまた毒親なんだと思う。
それなのに彼女に逢いたがる彼の切なさ。
あの日、置いて行かれた彼の流したひと筋の涙。
マロニーのむき出しの怒りを観ているだけで
ハラハラしてしまうし、キリキリしてしまうのだけれど、
触れただけで爆発しそうな彼がフローランス判事や
ヤンやテスたちとのやりとりの中で少しずつ、
ほんの少しずつ気持ちが落ち着いていく姿が自然体で、
なんだか、じわじわ泣けてきてしまうのです。
どんな状況になっても人は人を諦めてはいけない。
ラスト、小さな命を両手で抱えるように大切に抱きしめながら
こちらに歩いてくるマロニー。不安と安心が同じ大きさで揺れ動く。
決してハッピーエンドというわけでもなく
かといってアンハッピーというわけでもなく
ただ願うように見守りたい・・
無責任な言い方かもしれないけれど彼を信じたい
そんな思いでいっぱいになりました。
*2016年12月の或る日、映画館で。
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