やっぱり映画は映画館だよね。
*星マークが、5:感動!、4:好き!、3:キライじゃないよ、2:なんで観たのか、1:時間と金返せ

 「スター・ウォーズ フォースの覚醒」  2015年 アメリカ

<あらすじ>
エンドアの戦いから約30年後、銀河帝国の残党によりファースト・オーダーと呼ばれる組織が結成され再び銀河に脅威をもたらしていた。レイア・オーガナ将軍はレジスタンスを結成しファースト・オーダーに立ち向かうためにルークを探していた。ルークの所在が記載されている地図を手に入れたレジスタンスのポー・ダメロンは砂漠の惑星ジャクーでファースト・オーダーに捕まるが地図を自分のドロイドのBB-8に託していた。その後、BB-8はジャクーの少女レイに助けられ行動を共にするが・・・
ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、アダム・ドライバー、デイジー・リドリー、
ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック、ルピタ・ニョンゴ、アンディ・サーキス、
ドーナル・グリーソン、グウェンドリン・クリスティ、アンソニー・ダニエルズ、
ケニー・ベイカー、ピーター・メイヒュー、マーク・ハミル、マックス・フォン・シドー 他 出演
J.J.エイブラムス 監督作



<感想>
「遠い昔、遥か彼方の銀河系で・・」

スター・ウォーズは何かにつけて全シリーズ観てはいるものの
どちらかというとシリーズのファンというよりも
ハリソンさんとかユアンとか俳優さん目当てで観たりしていて
場合によっては内容とか、つっこみながら笑っていたことも
あったくらいのそんな失礼な態度で観ているのだけれど
それでも毎回、あの冒頭の「遠い昔・・」というのと
お決まりの音楽が流れる瞬間はグっときたりして
これはなんだろう、どうしてグっとくるのだろうと思いながら
やはり、今回も観てみると、同じくグッときちゃったのでした。
それにくわえ、ハンソロなハリソンさんが登場すると
テンションあがってきたりしちゃうという
彼是つっこむくせにいつも楽しんでしまう。

そんな気軽な立ち位置で毎回観ているのもあるのか
今回はそれぞれのキャラも新鮮に観ることが出来ました。
新しい主役のレイをはじめ、フィン、カイロ・レン、ポーが
なかなか魅力的だったりする。BB8も可愛い。
特にアタシはポーが好き(誰も聞いていない・笑)
なんかあまり出てこないんだけれど、大きな眸と
笑うとカエルっぽいような半分ハンサムって感じの顔がいい(笑)

そして、カイロ・レン(ベン)が父であるハン・ソロを
あんな風にしてしまうのはある意味、このシリーズを
前に進めるための準備なのだろうなとも感じたりしました。
新しい路を歩くには越えなければいけないものがある。
あまりにも大きな存在、この映画が好きな皆が大好きだった存在を
消してしまってこそ、なのかな・・とも勝手に解釈しつつも
もしかして、実は生きていた・・とか、双子の・・とか
イヤだよ、ヤメてよね(笑)

ところでダニエル・クレイグさんがカメオ出演しているらしいんだけれど
全然わかんなかった・・どこ?どこにいるん?誰か教えて・・・(笑)



*2015年12月の或る日、イオンシネマMMにて鑑賞




 「FOUJITA」  2015年 日本、フランス

<あらすじ>
1913年、27歳で単身フランスへ渡ったフジタは「乳白色の肌」で裸婦を描き、エコール・ド・パリの寵児となる。そして1940年に帰国。戦時下で戦争協力画を描くことになったフジタは、日本美術界の中で重鎮として登り詰めていくが、疎開先の村で敗戦を迎えることになる・・
オダギリジョー、中谷美紀、アナ・ジラルド、アンジェル・ユモー、
マリー・クレメール、加瀬亮、りりィ、岸部一徳、青木崇高、
福士誠治、井川比佐志、風間杜夫 他 出演
小栗康平 監督作



<感想>
藤田嗣治さんについてはあまり知らなくて
彼の絵もほとんど観たことがなくて
洒落た感じで猫が好きらしい・・というくらいのことだけ・・
という、なんとも淡泊な感触でしかないのだけれど
久しぶりの小栗監督作ということで気になり
この映画に出逢ってきました。

寡黙なのに饒舌な暗さ、独特な呼吸感を感じる映像。
退屈といえば退屈になりそうなくらいに表面上は
動きがあまりないようなまるで静止画みたいなのに
その奥で様々な躍動があるようで。
誰が演じているのか区別がつかないくらいの暗い映像なのに
ものすごく明確なものを観たような感覚におちいり
もう、眼の中にはいるものを夢中になって見つめてしまった。
フジタが絵空事という言葉を肯定している感覚が
「映画」という存在そのもののように感じたりもする。

最後に水面にぼんやりと彼が描いた戦争画が観えた時
異様なパワーを感じてきて、ゾワゾワとしてくる。
猫や女たちを見つめたその同じ眼で死体を描いた彼の
深い洞察と絶え間ない情感を勝手に思ってしまう。
もっと、彼の絵を観てみたい・・今更ながらそんな風に思いました。
それにしてもオダギリさんの声、いいなあ。深くて心地良い響き。



*2015年12月の或る日、横浜シネマリンにて鑑賞




 「007 スペクター」  2015年 イギリス

<あらすじ>
「スカイフォール」で焼け残った写真を受け取ったボンドは、そこに隠された謎を追って単身メキシコ、ローマと渡っていく。その過程で悪名高い犯罪者の美しい未亡人ルキア・スキアラと出会ったボンドは、悪の組織スペクターの存在を突き止めるが・・・
ダニエル・クレイグ、 クリストフ・ワルツ、レア・セドゥー、
レイフ・ファインズ、モニカ・ベルッチ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス、
デビッド・バウティスタ、アンドリュー・スコット、ロリー・キニア、
イェスパー・クリステンセン、ステファニー・シグマン 他 出演
サム・メンデス 監督作



<感想>
ついに007は正月に観るという掟を破っちゃったけれど
やはり無視できません、観たいの、あの曲を聴きたいですもん。
で、今回のダニエルさまのボンドさん。
なんだかロジャー・ムーアさん的な洒落もんになっていましたよ。
切羽詰まってもニヤついているし、落下してもソファーに座るし。
ダニエル・ボンドの初登場の時は、どこか人間くささもあって
今までとは違うボンドだったから賛否あったけれど
アタシはとても好きだったんだ。けど、今回の原点帰り的なボンド
これもキライじゃないよ、というか、ダニエルさんの場合なんでもOK(笑)
おまけに相変わらず可愛いQもいるしで、なんだかんだと面白かったのだ。
悪く言えば都合のよい子供遊びな展開なのだけれど、
このニヤ笑いの洒落もんの余裕のある子供遊びは
007の持ち味だったのだよなぁと思い出したのでありました。
アタシは今までのシリーズも細かいことを憶えていないから
わからなかったのだけれど、全シリーズ記憶にある人によると
あの猫ちゃんや、片目のキャラや、車や、武器や、小物など、
様々なネタはすべて、今までに登場してきたものらしくて
そういう意味ではシリーズ初期の頃からのファンたちへの
プレゼントがたくさんつまっていた映画だったのかもしれません。
もちろん、わからなくても、楽しいけれど、ね。
ま、アタシはとにかく映画の帰りにウォッカとベルモットを買って
ウォッカのマティーニ作って飲んじゃったくらい好きです(笑)
唯一アレだったのはオープニングのアレ・・タコにからまるダニエルさん
なんだかもう、タコだよ、タコ、ダメだよ、
あれは笑いのツボに地味にはいっちゃってツラかった・・・(笑)



*2015年12月の或る日、横浜ブルク13にて鑑賞




 「ヴィザージュ」  2009年 フランス、台湾、ベルギー、オランダ

<あらすじ>
フランスで「サロメ」をモチーフに映画を撮ろうとする監督をめぐる夢幻的な世界。ルーブル美術館を舞台にして、ジャン=ピエール・レオ、ファニー・アルダン、ジャンヌ・モローも出演。第10回東京フィルメックスのオープニングで上映された。日本での劇場未公開作品。
リー・カンション、ルー・イーチン、ファニー・アルダン、ジャン=ピエール・レオ、
レティシア・カスタ、マチュー・アマルリック、ナタリー・バイ、ジャンヌ・モロー 他 出演
ツァイ・ミンリャン 監督作



<感想>
東京フィルメックス、ツァイ・ミンリャン特集にて上映。
なんという、これはとんでもないもんを観てしまいました(笑)
だって、ファニー・アルダン姐さんがお供えの袋に二枚はいっている
クッキーというかお煎餅のようなもんを食べるんだよ(笑)
トリュフォーの分身のアントワーヌなジャン=ピエール・レオさまと
ツァイ・ミンリャン監督の分身のようなシャオカンと鳥のコラボは
どうしていいのかわからないくらいたまらないものがあり
そのすごさが、すごいと思う暇もなく劇中出てくる
『大人はわかってくれない』のパラパラ本のように
パラパラとスゴイことがやってくるのですよ。

だって、もう、冒頭の延々と水と闘うシャオカンと
水にいつまでも大切に浮かばせるお母さんと
たたきまくる肉団子のお肉と、黒いテープを貼り続ける女優と
迷える鹿と、時々ジャン・ピエール・レオさまと、時々ファニー姐さんと
マチューさんとかナタリーさんとかジャンヌ・モローさまとか
レティシア・カスタさんとか、超がつくほど豪華なので
もう、どうでもいい、眺めているだけで幸せという状態な反面、
うっかり、それぞれの筋などというものを考え出したら最後、
これはいつまでも辿り着かない迷路になっちゃうよ。

だから、考えない。そのまま、観るままを楽しめばいい。
映画の中に出てきた人物たちのそれぞれの顔が重なる。
観る人のことを気にしていない贅沢で自由な美しいパラパラ写真を
こちらも何も気にせず、ただ自由に眺めていたという体験でした。



*2015年12月の或る日、有楽町スバル座にて鑑賞




 「楽日」  2003年 台湾

<あらすじ>
閉館の日を迎えた古い映画館では『血闘竜門の宿』(67)が上映されていた。主演しているミャオ・ティエンとシー・チュンの姿もまばらな客席に見える。受付係の女の思慕は、映写技師の男に届かない・・。ツァイの映画愛が散文のように綴られる。ヴェネチア映画祭でFIPRESCI賞を受賞。
チェン・シャンチー、リー・カンション、三田村恭伸、ミャオ・ティエン、
シー・チュン、チェン・チャオロン、ヤン・クイメイ 他 出演
ツァイ・ミンリャン 監督作



<感想>
東京フィルメックス、ツァイ・ミンリャン特集にて上映。
ひさしぶりにこの映画に再会した。
好きな映画について語りたくなる時に必ずと言っていいほど
この映画のタイトルを思い浮かべるというのに
何度も観る気持ちにならないのはなぜかと桃饅頭の半分を
思い出しながら考えてみたら、なんだか切なくなってきた。
きっと、それ。その切なさのせい。観終わった後に
なんともいえない寂しさが足元からまとわりつくようで
その寂しさが懐かしくて怖くてたまらない気持ちになってしまうから。

「みんな映画を観ないね」
忘れられたかつての主演俳優たちが映画館のロビーで語り
誰もいなくなった観客席がスクリーンの視点から
ゆっくりと映し出された瞬間、涙が溢れてきてしかたがなくなる。
映画館は観る人がいなくなれば死んでしまう。
その死を眺めつつも、かつてそこに座っていた人達の
残像が宿っているようだった。映画館に辿り着いたそれぞれの人達、
猫の雨宿り、受付係の女性の足音、そして、半分の桃饅頭。
最後に映写技師のシャオカンが思い出したように、
あの小さな炊飯器の中の桃饅頭を見つけ炊飯器ごと持っていった。
それを無言で眺めていた受付の彼女はひとり、雨の中歩いて行く。

いつまでも晴れない思いを残してくれる、この映画。
それは、いつまでも忘れたくないという思いと似ている。
やまない雨は心残りを水たまりにしていく。足音は遠くなっても。



*2015年12月の或る日、有楽町スバル座にて鑑賞




inserted by FC2 system