<あらすじ>
親友のローラを亡くし哀しみに暮れるクレール。残された夫のダヴィッドと生まれて間もない娘を守ると約束したクレールは二人の様子を見るために家を訪ねる。するとそこにはローラの服を着て娘をあやすダヴィッドの姿があった。そして・・
ロマン・デュリス、アナイス・ドゥムースティエ、
ラファエル・ペルソナ、イジルド・ル・ベスコ 他 出演
フランソワ・オゾン 監督作
<感想>
綺麗な花嫁。まるで死人の目を閉じるような仕草・・
と、思っていたらまさに死んでいたのだった。
棺桶の上からの画をそのままスクリーンの目の前で眺めながらの
どこか不思議で面白い映像がソワソワさせるそんな冒頭。
あっという間に映画の世界に惹きこまれてしまった。
短い場面の中に様々なことが軽快に刻まれていく。
クレールとローラのこと。ローラとダヴィッド、
ダヴィッドとクレール、そしてヴィルジニアとクレール。
本能という言い訳の洗脳なのか、生まれついた時からなのか
アタシたちは女らしく、男らしくと言われ続け
そのように強いられ育てられてしまうけれど
そもそも"らしく"って、なんなんだということ。
伝え方によってはとことんシリアスになりそうな話なのに
終始くすぐられた後の小さな笑いの後味に似たような
なんともいえない面白さでスルスル進んでいく気分になる。
女装にハマっていくダヴィッド別名ヴィルジニアが可愛い。
というか、ロマンしゃんが可愛い(笑)
クレールとショッピングに行く場面とかすごく楽しそう。
そうして、ヴィルジニアなダヴィッドに感化されて
クレールが少しずつ華やいでいくのも可愛い。
7年後。ラストは自分らしさを受け入れた
クレールとヴィルジニアなダヴィッドの自然体な笑顔。
大きくなった子供をむかえに行くところで終わる。。
いや、でも、待って。クレールとヴィルジニア的には
ハッピーなんだろうけれど、忘れちゃいけないよ
クレールの旦那ジルのことですよ。彼は確かに
無神経なことも言う時もあれど優しい人なんだよね。
ローラが残した赤ん坊をクレールと一緒に面倒をみていたし
美味しそうなご飯も自ら作ってくれるし・・
何より演じていたのがラファエル・ペルソナさんだもん!
特にスーツ姿、あのほんのりウェーブがかかった甘いヘアスタイル。
たまらんほど好みなので(笑)気になりました
彼が7年間とその後どうしていたのか。
そういう意味ではジルは映画の中でさりげなく
無視されていた可哀想な存在になる。きっとクレールは
ヴィルジニアにローラを重ねていたのだろうからね。
そんなことを思っていたら、ふと、ヴィルジニアを
昏睡から目覚めさせたあの歌、もう一度聴きたくなりました。
バーでシンガーが歌っていたのではなくて
クレールがヴィルジニアのために歌ってあげた歌声で。
*2015年8月の或る日、シネマ・ジャック&ベティにて鑑賞