「地下鉄(メトロ)に乗って」

2006年 日本映画
監督 篠原哲雄
出演 堤真一、岡本綾、大沢たかお、常盤貴子
    田中泯、北条隆博、崎本大海、金井史更、綱島郷太郎
    吉行和子、笹野高史、中村久美、千葉哲也 他

タイムスリップで伝えたかったこと。
愛されていることを知らなかった人へ伝えたかったこと。
わかっていた、自分も父と同じように家族を捨てていたことを。
知ってしまった、生まれてきたことが哀しい運命だったことを。
巡りあった愛し合う二人は愛し合ったら哀しい出逢いだった。
それでも出逢ったことへの意味を思う。
兄を失い父から愛されていないと思っていた真次へ
何かを伝えるためだったのだろうか。
それとも罪と罰なのだろうか。

「しあわせでした あなたのような父親を持って
 小沼昭一は しあわせでした」

Bar アムールで思わず伝えたその言葉。
兄に代わって伝えてしまった言葉。
ずっと嫌っていた父の心根に触れることが出来たから。

ただ笑ってくれるだけで充分だったのに
生きてくれるだけで充分だったのに
親でいること、子供でいること、
その前にひとりひとりの人間で人生があった。

雨の中の永遠。
「忘れない」たとえメトロにすいこまれても。

みち子の存在と引き換えに真次は家族をとり戻した。
それと同時に命を捨てても愛せる人に
そんな人に出逢ってしまった みち子の強さが哀しい。

指輪を不思議そうに眺める真次。
彼の記憶の中から、みち子は消えてしまっていた。
それでも強く握りしめ指輪は再びポケットの中へ。
忘れられる方が哀しいのか、忘れる方が哀しいのか。
どちらの哀しさも大きさはわからない。
でも、確かに二人は出逢った。愛していた。

地下から一瞬外に出て陽射しが差し込む車窓から
見上げるその眼差しには何が見えたのだろうか。
その後、ふと、寂しげに眼をふせる真次の横顔が忘れられない。

余韻がいつまでも包む。出逢いや運命などが交差する。
過去を知らない方がいいのか、知った方がいいのか。
色んなことを思いながら、切なくなる。
そして、人の繋がりを思う。残酷で優しい繋がりを。


[オムライス]
真次はみち子とデートの時はいつも喫茶店でオムライスを食べている。
そして、みち子にとってのオムライスは母の味。
ケチャップを好きなだけかけてもいいオムライス。
この二人のオムライス好きもどこかで繋がっていたのかな
そんな風に思ったりして。どちらのオムライスも美味しそうだった。
とりわけ Barアムールで二人が食べたオムライスは
美味しいけれど切ない味なのだった。

[手作りケチャップでオムライス]
ホールトマト1缶のトマトを刻んだものと缶汁、
玉ねぎのみじん切り適量、にんにくのみじん切り適量、
酢大匙1〜2、砂糖大匙1〜2、塩少々、ローリエ1枚を
鍋に入れて火にかけて好みの加減まで煮込んで出来上がり。
歯ごたえがない方がいい場合は全部の材料をミキサーにかけちゃうとか、
玉ねぎやにんにくはすりおろしてしまうとかでも美味しいです。
これを使って、好みの具とご飯を炒めてケチャップライスを作り
とき卵を焼いて包んで好きなだけ上からケチャップをかけて、いただきます。
出来れば真次のような人が雨にぬれた半乾きの髪で
「うん、うまいな」って言ってくれたらウレシイね(笑)    



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