2012年ドイツ映画
監督 クリスティアン・ペツォールト
出演 ニーナ・ホス、ロナルト・ツェアフェルト 他
「放してあげて」
名前はステラよと逃げた少女を抱きしめる女。
彼女の名前はバルバラ。
いつも誰かに監視されている。
自由に生きたい。西へ行きたい。
西にいる愛する男。
彼の生きる場所へ行くつもりでいたけれど。
「ごめんなさい、海はきらいなの」
東に残る男。
アンドレは何もかも受け入れて
そこで生きていた。
命にかかわる日々。
命にかかわる仕事。
その日々を一緒に過ごした人がいる。
その時間の積み重ねは
気がつけば栄養になっていた。
一か八かのチャンス。
最初で最後かもしれないチャンス。
自分だったらどうするだろう。
でも、すでに心は決まっていたんだよね。
アタシはただ観ていた。
共感するヒマもなく ただ息を殺して
バルバラの時を観るしかなかった。
だからこそ彼女が海を手放し、
何もかもステラに託したのを目撃した時
忘れていた呼吸を体中に伝えた気分になったのだ。
自由とは場所ではないのかもしれない。
バルバラとアンドレの交換する瞳。
ベルリンの壁よりも先に崩れた心の壁。
その壁が崩れたままなことを願いながら。
[ラタトゥユ]
ゲス野郎でも病人なら助けるという
アンドレの誠実さというか、あの
なんともあったかい感じの瞳はたまらんです。
そんな彼が治療のお礼にもらった材料で作るラタトゥユ。
バルバラは食べずに帰ってしまったけれど
心を開いていたのを知った大切な瞬間だった。
大きめに切った茄子、玉ねぎ、ズッキーニ、ピーマンなどを
たっぷりのオリーブ油で炒めていったん取り出しておく。
同じ鍋にオリーブ油を足してニンニクのみじん切りと
皮をむいたトマトを炒め、取り出しておいた野菜たちも全部いれて
バジル、タイム、オレガノなどもいれてそのまま煮炒める。
水分は野菜から出るものだけで。塩、コショウ、
カイエンヌペッパーなどで味付けして出来上がり。
(野菜を細かく切って作って白身魚のソテーのソースや
オムレツのソースにしても美味しい)