「思秋期」 (2011年・イギリス)
<あらすじ>
男やもめで失業中のジョセフは酒を飲むと怒りを抑えられずいざこざや暴力沙汰ばかり起こす日々。そんな自分に嫌気がさし精神的にも疲弊しきっていたある日、明るく聡明な女性ハンナと出会う。ハンナは自暴自棄になっていたジョセフを癒し二人は次第に打ち解けていく。しかし、ハンナもまた、心の中に人には言えない闇を抱えていた。そして・・
ピーター・ミュラン、オリビア・コールマン、エディ・マーサン 他 出演
パディ・コンシダイン監督作
<感想>
近所の映画館で上映していた時にずっと気になっていて
でも、観に行きそびれてしまっていた映画。
もらってきていたチラシのデザインがとても好きだった。
で、これは映画の感想というよりもアタシのクセというか
どうにもダメなのです、ワンコがつらい描写って(泣)
酔って自分の犬を蹴り殺してしまうどうしようもない男、ジョセフ。
でも、この最初の場面は主人公のジョセフの
コントロールのきかなさを表現するためだと思ったし、
何よりも彼自身が誰よりも後悔していて傷ついているとうのが
伝わってきたので、これは哀しいけれど受け入れたけれど
二度目のやつは、お前は悪くないと一旦は怒りをおさめたというのに、
結果的に鎖につながったままのワンコを殴り殺してしまう。
いくらなんでもそれはさ、子供を噛んでしまった犬だけれど
あの犬のせいじゃないってわかっているじゃんか。
あのワンコを狂わせた飼い主のせいなんだから
そっちに怒りを向けるべきでしょう!って、ジョセフに嫌悪感を
抱いてしまったので、ジョセフさんよ、サヨナラって感じ(汗)
ハンナがね、夫を殴り殺してしまうのは理解できる。
たぶん、ハンナが殺さなかったらそれこそジョセフが殺していたろうし。
でも何が彼女のガマンを外したのだろう。
おしっこをかけられても殴られても受け止めていた痛々しいハンナ。
それでも、凶暴な夫のことを哀れんでいたからこそ、ガマンしてしまっていた。
何がきっかけで・・というか、だってジョセフがきっかけとは
思えなかったから・・何か、そこまでの出逢いのような気がしてなくて。
それでも、繰り返されるハンナの恐怖の日々の中に
ジョセフがはいってきて、いい意味で日々のリズムが狂ったから
今までの苦しみを爆発させてしまうことが出来たのだろうか。
互いに手を汚してしまった二人。これから、どうなるのだろう。
そんな二人の背中を眺めながら、それまで傍観者であった気持ちから
ほんの少しだけ映画の中にはいって二人の温度を感じた気がした。
CSにて鑑賞 |