ウチでゆっくり映画観るのもいいもんだよね。
*にゃんこマークが、5:永久保存、4:大好き、3:キライじゃないけれど上から別の映画入れちゃえ、2:早送り、1:消去

 

 「雨のニューオリンズ」(1966年・アメリカ)

<あらすじ>
米国南部の小さな田舎町トッドソンに、オーウェンという名のひとりの男性がやって来る。彼の下宿先の娘で町でも評判のアルバは、早速彼に一目惚れするが、実はオーウェンは鉄道会社に雇われ、従業員の勤務査定に町を訪れたのだった。彼に解雇された従業員たちは、オーウェンを逆恨みして袋叩きにしてしまう。やがて愛し合うようになったオーウェンとアルバは、ともにニューオリンズへ旅立とうとするが・・
ナタリー・ウッド、ロバート・レッドフォード、
メアリー・バダム、ケイト・リード、 チャールズ・ブロンソン 他 出演
シドニー・ポラック監督作


<感想>
ハンサム、二枚目、男前、美男、もうメロメロだよ(笑)という言葉を
独り占めしてもOKな時の若きロバート・レッドフォードさまが登場の
シドニー・ポラック監督作『雨のニューオリンズ』なのです。
主演はこれまたキリリとした美女、ナタリー・ウッドさん。
映画は廃墟になった町でボロボロのドレスを着て人形を片手に線路を
ふらつく少女が話しかけてきた少年に昔の話を聞かせるところから始まる。
この少女がナタリー・ウッドさん演じるアルバの妹ウィリー。
この始まりからして切ない予感がよぎりました。

レッドフォードさん演じるオーウェンという青年が
最初は仕事のためにアルバに対してクールな態度なんだけれど
やはり、実は内心惹かれていたんですね。だって、まぁ、
そりゃぁ、相手はナタリーさんだもん、綺麗だし、可愛いもんさ。
惚れない設定の方が無理あるよなあ、レッドフォードさんに
ひと目惚れという設定が当り前に理解できるように。
でも、それだけじゃない。二人の共通点。それは此処ではない何処かへ・・の思い。
アルバはいつも言う。あの汽車に乗りたい。どこか遠くへ。
母親が営む下宿屋は美人のアルバ目当ての客ばかり。
この母親が酷い人で生きていくためとはいえ、
娘のアルバを娼婦のようにして利用させるのです。
オーウェンが言う。母親の人生ではなく自分の人生を生きろと。
そして、そんなオーウェンも人員整理というクビ切りの仕事が
とてもイヤなのを心のどこかで、その思いを殺しながら
仕事を黙々とするのです。だからこそ、その互いの内側の心を
見つめ合った二人が惹かれあうのですよね。

ほんの少しのボタンのかけ違いでケンカをしてしまい
一緒に汽車には乗らず一旦別れてしまう二人なのだけれども
ニューオリンズで再会した時の水面に映る静かで美しい
品のある場面が逸品で、その後の悲劇さえも
封じこめてしまうような支え合う二人の可愛い優しさが
どうか永遠に続きますようにと思わず願ってしまいたくなるほど切なかった。
雨の中、狂ったように走り逃げてしまうアルバの哀しさ。
とり残されたオーウェンは何を思うのだろう。
裏切られたと思ったのだろうか、それともアルバの哀しさに
寄り添ってくれたのだろうか。まるで、あのスノードームのように
硝子で覆われた小さな雪の中に捨てられていく人生のようだったアルバ。
オーウェンに出逢って一度は硝子の中から飛び出したはずだったのに。
だから、それが消えてしまわないように、ウィリーが語るのかもしれません。
アルバという姉がいたこと。オーウェンという青年がいたこと。
苺味のアイスクリームは、もう売っていないけれど
思い出は誰にも奪うことは出来ない。そして確かに存在した出来事も。


CSにて鑑賞



 

 「思秋期」(2011年・イギリス)

<あらすじ>
男やもめで失業中のジョセフは酒を飲むと怒りを抑えられずいざこざや暴力沙汰ばかり起こす日々。そんな自分に嫌気がさし精神的にも疲弊しきっていたある日、明るく聡明な女性ハンナと出会う。ハンナは自暴自棄になっていたジョセフを癒し二人は次第に打ち解けていく。しかし、ハンナもまた、心の中に人には言えない闇を抱えていた。そして・・
ピーター・ミュラン、オリビア・コールマン、エディ・マーサン 他 出演
パディ・コンシダイン監督作


<感想>
近所の映画館で上映していた時にずっと気になっていて
でも、観に行きそびれてしまっていた映画。
もらってきていたチラシのデザインがとても好きだった。
で、これは映画の感想というよりもアタシのクセというか
どうにもダメなのです、ワンコがつらい描写って(泣)
酔って自分の犬を蹴り殺してしまうどうしようもない男、ジョセフ。
でも、この最初の場面は主人公のジョセフの
コントロールのきかなさを表現するためだと思ったし、
何よりも彼自身が誰よりも後悔していて傷ついているとうのが
伝わってきたので、これは哀しいけれど受け入れたけれど
二度目のやつは、お前は悪くないと一旦は怒りをおさめたというのに、
結果的に鎖につながったままのワンコを殴り殺してしまう。
いくらなんでもそれはさ、子供を噛んでしまった犬だけれど
あの犬のせいじゃないってわかっているじゃんか。
あのワンコを狂わせた飼い主のせいなんだから
そっちに怒りを向けるべきでしょう!って、ジョセフに嫌悪感を
抱いてしまったので、ジョセフさんよ、サヨナラって感じ(汗)

ハンナがね、夫を殴り殺してしまうのは理解できる。
たぶん、ハンナが殺さなかったらそれこそジョセフが殺していたろうし。
でも何が彼女のガマンを外したのだろう。
おしっこをかけられても殴られても受け止めていた痛々しいハンナ。
それでも、凶暴な夫のことを哀れんでいたからこそ、ガマンしてしまっていた。
何がきっかけで・・というか、だってジョセフがきっかけとは
思えなかったから・・何か、そこまでの出逢いのような気がしてなくて。
それでも、繰り返されるハンナの恐怖の日々の中に
ジョセフがはいってきて、いい意味で日々のリズムが狂ったから
今までの苦しみを爆発させてしまうことが出来たのだろうか。
互いに手を汚してしまった二人。これから、どうなるのだろう。
そんな二人の背中を眺めながら、それまで傍観者であった気持ちから
ほんの少しだけ映画の中にはいって二人の温度を感じた気がした。


CSにて鑑賞



 

 「シャドー・ダンサー」(2011年・アイルランド、イギリス)

<あらすじ>
イギリスからの独立を求める武装闘争が長年続く北アイルランド。幼い頃から厳しい環境下で育ち、自らもIRA(アイルランド共和軍)の闘士となったシングルマザーのコレット。1993年、ロンドンでの地下鉄爆破未遂事件に関与した彼女は、その容疑者として逮捕され、イギリス諜報局保安部の捜査官マックから、幼い息子と別れたくなければわれわれのスパイとなって身内の動向を探れと迫られ、やむなくそれを承知するのだが・・
アンドレア・ライズブロー、クライヴ・オーウェン、
ジリアン・アンダーソン、ブリッド・ブレナン 他 出演
ジェームス・マーシュ監督作


<感想>
いやぁ、ラスト、びっくりしたー!
というか、キスをした時に、もしかして・・・って
一瞬思ったので、後からゆっくり考えてみたら
オチはわかりそうでもあるのだけれどまんまと騙されました(笑)
きゃー!って声あげそうになったもん。
でも確かにコレットは子供の頃から罪悪感を抱えていて
その罪悪感を背負いながらIRAの活動家になり
爆破未遂で逮捕されてしまい息子と別れたくなければ
MI5へIRAの行動を伝えるというスパイになることを命じられてしまい、
もうね、逃げ場ないというか。生き地獄というか。
MI5の捜査官のマックはコレットを最後まで
守ろうとはしてくれるのですが、やっぱ彼女にとっては
マックだろうが、他の誰であろうが彼はMI5の人でしかなく
支配されるものと、支配するものでしかないのだものね。
それでも、騙されてしまったのです、アタシ。
だって、コレットとマックの眼差しが とても似ているような気がしたから。
お互いの孤独を共有しているような感じがしたから。
だからこそ、ラストのあの場面に、うわぁ・・なのでした。


CSにて鑑賞



 

 「恐怖の報酬」(1953年・フランス)

<あらすじ>
食いつめ者の移民たちでごった返すベネズエラの街ラス・ピエドラス。コルシカ人のマリオは、この町でジョーと出会い意気投合する。ある日、街から500km先の山上の油田で火事が発生し多数の犠牲者が出る。石油会社は火災鎮火のためにニトログリセリンを山上へと運び上げる運転手を高報酬で募集する。そして、マリオとジョーを含む四人が選ばれた。彼らは2台のトラックに分かれ命がけで油田を目指すが・・
イヴ・モンタン、シャルル・ヴァネル ペーター・ヴァン・アイク 他 出演
アンリ=ジョルジュ・クルーゾー 監督作


<感想>
映像的にはとても興味深かったものの、それぞれのキャラに
ハマれないまま死のロードに突入するので・・というか、
個人的には主人公のマリオがとてもイヤなんだもん(笑)
だって彼女にボタンつけろ!ってシャツをなげつけるような人
好きになれますかね?なれませんよ、アタシ(笑)
でも、面白いと思ったのは町ではマリオがジョーを兄貴のように慕い
いつもくっついていたのに、トラックの中では立場が逆転というか
マリオは恐怖心でいっぱいのジョーに腹を立てたり
しまいには沼の中で動きがとれないジョーを無視して
ひいてしまいますから。しかたがなかったんだと言うけれど
まぁ、たしかに少しの衝撃でもニトログリセリンを積んでいるので
危ないので、沼からぬけだすには進むしかないのかもですが
いったん止まっているのを動かすのだから
人がいるならいったん止めてやりなおせばいいじゃんと
思うんですけれど、もう、そこが狂気なのですね。
先に走っていて爆破して死んでしまった二人組の方は
なかなか面白くて髭を剃っておくという場面が印象的。
思えばアタシも、時間に余裕がなかったり、
そんなことしている場合ではないという時に限って
何かあった時のために、口紅をぬりなおしたり、髪をとかして
帽子をかぶりなおしたくなる時がある。彼が髭を剃っていたのは
もっとシビアな理由だったけれど、あれはとてもリアルだと思った。
ってか、ラストさ、マリオ、はしゃぎすぎだよ、
いろは坂じゃないんだから、あんなにクネクネ運転しなくても!(笑)
もしかしたらジョーの恐怖の報酬をも自分のものにしてしまったので
ジョーがマリオを谷底へと案内したのかも・・と思ってしまいました。


CSにて鑑賞



 

 「ジャッカルの日」(1973年・イギリス、フランス)

<あらすじ>
フランスのドゴール大統領を乗せた車が、待ち伏せしていた武装部隊の襲撃を受ける。大統領は奇跡的に助かった。既に大統領暗殺計画は何度も実行され、いずれも失敗に終わっていた。一連の暗殺は、反ドゴールの地下組織OASによるものであった。警戒態勢は厳重になり、OASは身動きが取れなくなる。そこで、当局に知られていない外国人の暗殺者を雇うことにする。かくしてジャッカルにドゴール暗殺が依頼されるのだった・・・
エドワード・フォックス、ミシェル・ロンズデール、アラン・バデル、
オルガ・ジョルジュ=ピコ、 デルフィーヌ・セイリグ  他 出演
フレッド・ジンネマン監督作


<感想>
ジャッカルって、徹底した仕事人間。
彼が目的のために淡々と用意していく過程が
とても興味深くて面白い。おまけに彼は小柄で痩せ型で
静かでどことなく優しそうなどこにでもいそうな人なので
逆にそこがとてもリアルな感じがして本物の殺し屋って、
こんな感じなのかもしれないと思わせる説得力があるので、
音楽のない展開でも思わず観入ってしまう。
偽造パスポート、作ってもらった銃、ヘアカラー
買っていたコートや帽子などが使われるところで、
ここで使うのね!と思ったり、そのために冷徹なことをしても、
そこにいくまでの仕事人ぶりを、じっと観入っていたので
なんか、気分はジャッカル。なのでこれ、危ない映画(笑)
それにしても、銃の職人のおじさんがまた渋いよねぇ。
頭だけ撃つのか?とか淡々と聞いて設計している。
会話している内容は殺すためのとても怖い内容なのに
やっぱり、寿司飯は少し固めに炊いた方がいいかね?とか
そういうノリで話しているので(笑)色々渋いんですよ。
そんで、ためし撃ちにスイカを撃ってみるんですけれど
ここが、調節の仕方が、地道で、すっごくカッコいいのよ。
ラストに片足で登場の時には胸が高鳴ってしまって
刑事の方にはまるで気持ちが傾かず、もう、ずっと気分はジャッカル。
だからこそ、あの場面で、あぁ、もう、くそ!って思ってしまう。
他の映画だったら、逆の気分で観るというのに
気分がジャッカルなので(笑)いやぁ、面白かったです。


CSにて鑑賞



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