ウチでゆっくり映画観るのもいいもんだよね。
*にゃんこマークが、5:永久保存、4:大好き、3:キライじゃないけれど上から別の映画入れちゃえ、2:早送り、1:消去

 

 「地獄門」(1953年・日本)

<あらすじ>
平清盛の厳島詣の留守を狙って起された平康の乱で平康忠は焼討をうけた御所から上皇と御妹・上西門院を救うため身替りを立てて敵を欺いた。上西門院の身替りとなった袈裟の車を譲る遠藤武者盛遠は敵をけちらして彼女を彼の兄・盛忠の家に届けたが袈裟の美しさに心を奪われるが・・。第7回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞、大映初の総天然色映画作品。
長谷川一夫、京マチ子、山形勲、黒川弥太郎、南美江 他 出演
衣笠貞之助 監督作


<感想>
映像美というか、色彩美というか、色の印象がとても強い映画。
若草色の破れたスダレごしに映る戦いや
人物たちの着物の色とか馬で海辺を走り矢を撃つところなど
印象的な色がとても多い。空の色も独特な感じで
加工と自然の間のような不思議な色が目に鮮やかに突き刺さる感じです。
話はぶっちゃけ、脂ギッシュ気味の(笑)長谷川さん演じる男が
京マチ子さんを助けてなんだかひと目惚れしちゃって、ついにはストーカーな
強引男になりまくり勝手に暴れまくって、しかし、結局、人の心は
力では奪えないというのを時すでに遅しな時に勝手に悟ったりしちゃうという、
おいおい!ひとりで大騒ぎなことしやがって大バカ野郎!って感じなのですが(苦笑)
まぁ、とにかく、京マチ子さんの夫役の山形さんがとても素敵(顔長いけど)
確か『浮雲』でデコさんのお兄さん役だった方だよね??
あの時のインチキなお兄さんとは違い、『地獄門』では思慮深く優しい人。
「どうして打ち明けてくれなかったんだ」と言った時、切なかったなあ。
本当に、クビをとったところで、愛する人はかえってこない。
すっぱり仇討をされるよりも生きて生き地獄を味わえということなのね。
というか、脂さんに蹴られたあの、ワンコ・・気になる・・


CSにて鑑賞



 

 「丼池」(1963年・日本)

<あらすじ>
大阪のド真ん中にある丼池は戦後丼池筋と呼ばれる約千五百軒の繊維街になった。室井商事の女社長カツミはこの丼池の商店の裏をくぐって貸付をしている高利貸しで彼女は丼池筋の高利貸し中のNO・1平松子から高い金利で借りて融資している。大学を出てこの道に入ったカツミは世間から冷たいといわれるほど合理的な金融業に徹底しているが・・
司葉子、三益愛子、森光子、新珠三千代、浪花千栄子、佐田啓二、
二代目中村鴈二郎、園佳也子、田村奈巳 他 出演
久松静児 監督作


<感想>
いやぁ、ラストに佐田啓二さんが
「ちゃんと歩いて行けるかずっと観ていてあげるから」
みたいなことを言うんですけんどね、こんなさぁ、
嘘くさいセリフが全然変じゃない。うう、素敵ですねぇ(惚れたよ・笑)
なんだか、司さんと佐田さんが並んで歩いていると
『秋日和』みたいで、ラーメン食べてほしくなる(笑)
それにしても、お金、お金、お金に執着している人たちのてんこ盛り。
ある人は泣き、ある人は翻弄、ある人はほくそ笑み、
そして、ある人は本当の自分を知る。高利貸しのことだけじゃなくて
株のことまで出てきて面白い。特にやり手の高利貸しの老舗というのか
金貸し婆さんの三益さんが面白くて観入ってしまうし、 森光子さんや
浪花さん新珠さんなどポンポンとテンポの良い芝居が最後まで楽しい!
損得は尊徳の云々というの、うん、それが真実だねぇ。
結局、ズルしないのが一番の近道なんだよなあ、と
当り前だけれど、忘れちゃいそうなことを思い知ったのでした。


CSにて鑑賞



 

 「灼熱の魂」(2010年・カナダ、フランス)

<あらすじ>
ケベック州に住む双子の姉弟ジャンヌとシモンは亡くなった母親ナワルからの遺言を受け未だ見ぬ彼らの父親と兄の存在を知る。そして遺言によりジャンヌは父親への手紙をシモンは兄への手紙を託され二人は中東の母親の故郷へ初めて足を踏み入れる。そして・・
ルブナ・アザバル、メリッサ・デゾルモー=プーラン、マクシム・ゴーデット、
レミ・ジラール、アブデル・ガフール・エラージズ、アレン・アルトマン、
バヤ・ベラル、モハメド・マジュド、ナビル・サワラ 他 出演
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作


<感想>
歌う女、バスの場面、足の三個の印・・・
いや・・もう、残酷な運命すぎて、ラストを受け入れるの辛かった。
兄妹が亡き母の遺言を辿るという形で進んでいく話なので
謎解きのような感じもあり辛い場面になると
観ているこちら側も知りたいような知りたくないような
複雑な気持ちになってきて、そして、あのラストなので
グサっと深く刺されたような気持ちになりました。
悲劇が巡り巡って救われない。あの足の印を観た瞬間、
アタシは思わず声あげてしまったから。持って行き場ない。
この映画をもう一度観たいかと聞かれたら、きっともう観ない。
でも、この映画を忘れられない。


CSにて鑑賞



 

 「ハンガー・ゲーム」(2012年・アメリカ)

<あらすじ>
文明崩壊後の未来。北米の巨大独裁国家パネムでは年に1度、国民を完全に服従させるための見せしめ的なイベント“ハンガー・ゲーム”が行なわれていた。それは12の地区から12〜18歳の男女ひとりずつをくじで選び、24人が最後のひとりになるまで殺し合いをさせるもの。ある地区で12歳の少女が選ばれるが、姉カットニスが身代わりに出場を志願。カットニスは支配者たちがいる都市キャピトルに連れていかれ、ゲームに臨むが・・
ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、
ウディ・ハレルソン、レニー・グラビッツ、スタンリー・トゥイッチ、
ドナルド・サザーランド、エリザベス・バンクス 他 出演
ゲイリー・ロス監督作


<感想>
評判がイマイチだったのでスルーしてしまっていたのだけれど
思えばPSHがこれの2に出ているので、 いつか観ることになるだろうと思い
ちょうど放映してくれた1を観てみたのでした。
スタンリー・トゥイッチさんが相変わらずいい仕事しておった。
おまけにドナルドおじさまとか、レニグラとか アタシ好みの男たちも多くて
ミーハーな気持ちを満たしてくれる映画でありました(笑)
生き抜くために殺人をしなければいけない それを楽しく見物する金持ちたち。
この構造はそのまま戦争という事態に陥った時の状況下としても
あるいは単純にどちらかがガマンしている望まない関係、
たとえば勝手に気がつかずにそうなってしまった上下関係、
あるいは血は繋がっているけれど虐待し虐待される
(目に見える暴力だけではなくて)親子関係という
そんな関係にもあてはまる気がしたりして、案外、ただの
ゲーム的な映画であっても考えようによっては哲学にもなるなと。
それにしても、ウェス・ベントリーさんは長瀬さんに似ていましたよね(笑)
映画によっては高良さんにも似ている説があって、うん、確かに
『アメリカン・ビューティー』の頃とかだったら、ちょっとかぶるかも・・
なので、なんとなく濃い系の日本的な顔立ちというのもあるからなのか
みょーに彼が印象に残りました。でも、2はいないのね、お疲れさまでした(笑)


CSにて鑑賞



 

 「トガニ 幼き瞳の告発」(2011年・韓国)

<あらすじ>
郊外の学校に赴任することになった美術教師イノはある放課後、寮の指導教員が女子生徒の頭を洗濯機の中に押し付ける光景を目にし生徒をかくまう。その少女から男女複数の生徒が校長を含む教師から性的虐待を受けていることを告げられる。イノは大きな衝撃と憤りを感じこの真実を告発することを決意するが・・。2000年から2005年にかけて韓国光州広域市の聾学校で生徒の少女らに対して校長や教員による性的暴行が日常化していたという実際に起きた事件を元に描き韓国で公開されるや460万人以上を動員し多くの人々が不条理な司法制度を批判し政府を動かすまでに発展し一大社会現象を巻き起こした作品
コン・ユ、チョン・ユミ、キム・ヒョンス、 チョン・インソ、ペク・スンファン、
キム・ジヨン、 チャン・グァン、キム・ミンサン、オム・ヒョンプ 他 出演
ファン・ドンヒョク監督作


<感想>
この映画は血の通っている映画だと思う。
実話を映画化にして色んな人たちに事実を知ってもらい
そこから声があがり、ついには政府を動かし事件を再調査して
法律まで変えたということ。そういう意味でこれは生きた映画なのだと思った。
一番リアルだと思ったのは主人公の母親のセリフかもしれない。
ちゃんとしたセリフは憶えていないけれど皆どこかで汚いことだと知っている、
だけれど生き抜くために黙っている、観て見ぬフリをしているという彼女のセリフは
ある意味現実だと思ったし、たぶん、ほとんどの人はそうやってクサイものにフタをして
生きているのではないかと思った。そして、そんな彼女が息子のイノに
「その子たちのことよりも自分の子を大切にして」と言った時に彼が言い返す
「この子がひどい目にあったときに僕はそこにいた。何もできなかった。
今、この手を話したら、僕はいい父親になることができない」と言うのは
希望であり、そうありたい、そうあるべきという願いにも似たものを感じ
思わず心が洗われていく瞬間だった。実際、彼は何かを暗示して
泣き声に向かってドアの前にまで行ったのに何か怪しいなと思いながらも
巡回していた用務員の言葉を受け入れ立ち去ってしまったのだから。
そういう等身大の人だからこそ花瓶を投げつけたりするような映画的な場面でも
絵空事にならない気がしたし、現実とは違う映画的な話もあるみたいなのだけれど
原作者の方が現実の方がもっと酷かったと言っていた記事を読み
重いものがズッシリとくる。それにしても、なぜこの映画がR18なのか。
すべての人が垣根なく観ることが出来なければ意味がない。
「私たちの闘いは世界を変えるためではなく
 世界が私たちを変えないようにするためなのだ」
そうだよね、本当にそうだよね。その言葉が心に残りました。


CSにて鑑賞



 

 「テッド」(2012年・アメリカ)

<あらすじ>
いじめられっ子の少年ジョンは、クリスマスプレゼントにもらったテディベアのテッドと親友になれるよう神様に祈りをささげる。すると翌日テッドに魂が宿り2人は親友になる。それから27年が過ぎジョンとテッドはともに30代のおじさんになっていた。一時は「奇跡のテディベア」としてもてはやされたテッドも幻惑キノコで逮捕されてからは堕落な日々。そんな時ジョンは恋人から自分とテッドのどちらかが大事なのか選択を迫られて・・
マーク・ウォールバーグ、ミラ・クニス、セス・マクファーレン(声)他 出演
セス・マクファーレン 監督作


<感想>
主演がマークだしR15というので期待していたのだけれど
思いのほかオーソドックスなちょいエロアメリカンコメディだった。
『フラッシュ・ゴードン』や『ナイトライダー』など
時代ネタが多いので涙が出るほど懐かしいとか
世代じゃないから知らないけれどこの映画のおかげで
とっても観てみたくなったとか、そう思える以外は
スルーなネタが多すぎるくらいの時代ネタだし字幕も星一徹とか、
やはりとてもある世代にしか通用しない表現なので
そういう意味でのR15なのかもしれません・・(笑)
アタシは途中まで気楽に笑って観ていたのですが
ラストがとても気に入らず、一気に冷めてしまったのでした。
元通りになるって、酷過ぎる。壊れて終わりのままだからこそ
かけがえのないものなのに。そこだけは許せないくらいキライ。
イヤなんだよ、コメディでも。縫い合わせればOKなんて。
あのまま、ボロボロになったまま終わってくれたら
エロコメディだけれど、なかなかイイネになったけれどね。
でも、テッドってオジサンっぽくてかわいい。あ、オジサンなのか(笑)


CSにて鑑賞



 

 「セデック・バレ」(2011年・台湾)

<あらすじ>
第一部:太陽旗
台湾中部の山岳地帯に住む誇り高き狩猟民族・セデック族。その一集落を統べる頭目の息子モーナ・ルダオは村の内外に勇名をとどろかせていたが1895年日清戦争で清が敗れると彼らの暮らす山奥にも日本の統治が広がり平穏な生活は奪われていく。それから35年、頭目となったモーナは依然として日々を耐え抜いていたが・・・
第二部:虹の橋
連合運動会が開かれていた霧社公学校を襲撃したセデックの決起部隊の手によって、戦う術を持たない多くの日本人は女子供の区別なく命を奪われた。日本軍は直ちに鎮圧を開始。山岳地帯の地の利を活かして戦うセデックの前に苦戦を強いられるが、圧倒的な武力を誇る日本軍と警察を前にセデックの戦士たちは一人また一人と命を落としセデックの女たちもまた選択を迫られる。そして・・
リン・チンタイ、マー・ジーシアン、安藤政信、河原さぶ、 ダーチン、
シュー・イーファン、スー・ダー、リン・ユアンジエ、ティエン・ジュン、 木村祐一、
ビビアン・スー、ランディ・ウェン、ルオ・メイリン、春田純一、田中千絵 他 出演
ウェイ・ダーション監督作


<感想>
公開時にとても観たかった反面、第一部、第二部をあわせて
4時間以上ある映画なので、時間的にも体力的にも観に行くのが難しかったけれど
CSで放映してくれたので録画して自分の時間にあわせて観てみたら
わー無理してでも映画館で観ればよかった!と後悔したくらいの大作だった。
なんかね、よく言うでしょ、台湾は日本に悪いイメージをもっていないって。
それって日本側の勝手な解釈だと改めて感じさせてもらいました。
この映画は1895年下関条約で台湾が日本統治下に置かれ
原住民セデック族が営む山岳地帯に日本が行政機関をおき彼らへ文明をおしつけ、
それが発端になり霧社事件にまでいってしまった時のことを描いています。

でも、 実話だけれど、ある意味どちらも美化することなく
映画として観せることも考えて作られたのか、その辺のアクション映画なんか
軽くぶっ飛んでしまうくらいセデック族が首を狩る場面や
山を駈け上る場面、矢を撃ち放ち、鉄砲を使う場面に心躍ってしまって
矛盾しているかもしれないのだけれど画面を観入ってしまう迫力に溢れていて。
特に主人公でもあるモーナ・ルダオが誇りを奪われながらも
いつかのために密かにマッチの先っぽの火薬を集めていたのが胸熱で
そのモーナの壮年時を演じた林慶台(リン・チンタイ)さんの面構えが 素敵なので、
もう、なんだか彼と一緒に歌い、 戦いについていきたくなってしまうという
ある意味この映画の見方を間違えているかもなアタシです(苦笑)

そうして、セデック族出身だけれど事件当時は日本の統治機構である
警察官として働き日本の名前もあった花岡一郎と花岡二郎。
本当の名前はダッキス・ノービンとダッキス・ナウイ。
彼らは最後、山の中で命を断つ。ノービンはすでに覚悟をしている妻を自ら斬り
生まれたばかりの可愛い赤ん坊の息も止め、切腹の前にナウイに言う。
「俺たちは天皇の赤子か?それともセデックの子か?」と。
そしてナウイはノービンに言う。
「葛藤を切り裂け。どちらでもない自由な魂になれ」と。

「文明を与えてやったのに」と日本は言う。 けれども、その文明って何?
もともとあった民族の誇りを奪い、勝手に押し付けた上から目線の文明。
それによって流された血はあまりにも多かった。多すぎた。
というか、本当はひとつの血も流されてはいけないのに。
かけがえのない命なのだから。

それにしても原住民族役の方たちの素晴らしさが目を惹く。
モーナ・ルダオの壮年時の林慶台さんはもちろん
青年時を演じた大慶(ダージン)さんも素敵だったし、
いつも日本の先生に罵倒され理不尽な扱いをされていた少年
バワン・ナウイを演じた 林源傑(リン・ユアンジエ)くんの体現力というか
躍動感溢れる動きには目をみはりましたね。 特にクライマックスに
大人が持つような武器を片手に猛進していくところなんか
グワっと胸をつかまされてしまった。

映画の中に桜が出てくるのだけれど、その色があまりにも紅くて。
まるで血の予告みたいに、濃くて孤独な紅だった。


CSにて鑑賞



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