ウチでゆっくり映画観るのもいいもんだよね。
*にゃんこマークが、5:永久保存、4:好き、3:キライじゃないけど上から別の映画入れちゃえ、2:早送り、1:消去

 

 「ミニー&モスコウィッツ」(1971年・アメリカ)

<あらすじ>
独身だがもう若くなく、妻子持ちのボーイフレンドともうまくいかない美術館勤めのミニー。ある日、デートの相手にからまれていたミニーを、駐車場で働く青年モスコウィッツが偶然救う。モスコウィッツは、ミニーにひと目ぼれするが・・
ジーナ・ローランズ、シーモア・カッセル、ジョン・カサヴェテス、
レディ・ローランズ、 キャサリン・カサヴェテス、ヴァル・エイヴリー 他 出演
ジョン・カサヴェテス 監督作


<感想>
映画のような恋なんて現実ではありえないと思いながらも
どこかでそんな出会いや相手を待っているようなミニー。
そんな彼女に一目ぼれするモスコウィッツ。
そうやって言葉にすると普通の恋愛映画のようなんだけれど
なんだかもう冒頭からどうしようもない人たちのぶつかり合いで
いつも誰かが怒っていて、いつも誰かが不機嫌で
ケンカ腰しかと思えば、震えて泣いていて一筋縄じゃいかない。
でも、その感情のゆらぎに観ているこちら側もゆさぶられていくのです。
夜でもいつでもサングラスをかけていた臆病なミニーが
10分後のアイスを夢見て愉しそうにしている場面が好きだった。
車のガラス越しに映る夜の温かさも忘れられない素敵な場面。
スマートでもかっこよくもなければ穏やかでもないけれど
飛行機で出くわした親子に対する態度からしても愉快な優しさもあり
その勢いあまる人間臭さでミニーを愛してしまうモスコウィッツと
繊細で不器用なミニーとの距離感がアンバランスながらも
少しずつ向き合っていく感じをドキドキしながら見つめてしまった。

それにしても、ミニーがランチを一緒にすることになった
エイヴリーさん演じる男性が濃すぎて強烈でどうしていいかわからない(笑)
もう、いつになったらランチを注文できるのかある意味サスペンスだったし
結局昼めし抜きじゃん、どうしてくれるのって感じになったわ(笑)
あんなクセありすぎる人を完璧に演じるエイヴリーさん、ほんとすごいよ。
(というかこの映画に出てくる人たち全員クセモノなのだけれど)
でも、彼のおかげでミニーはモスコウィッツと出会えたんだからね。

ラストの結婚式が温かみがあって素敵だった。
仲良くならなそうなお互いの母親たちが結婚式で見せた雰囲気が
とってもよくて和やかな気分になる。 カサヴェテス監督の映画で
こんなに安心できるラストなのもめずらしくていいけれど
ミニーとモスコウィッツにハラハラしていたから
映画を観終わった後、喉が渇いた。今はとにかく
あの日、ミニーが飲めなかったベルモットカシスがとても飲みたいです。


BSにて鑑賞



 

 「永い言い訳」(2016年・日本)

<あらすじ>
人気作家の津村啓こと衣笠幸夫は突然のバス事故により長年連れ添った妻を失うが妻の間にはすでに愛情と呼べるようなものは存在せず悲しみにくれる夫を演じることしかできなかった。そんなある時、幸夫は同じ事故で亡くなった妻の親友の遺族と出会う。幸夫と同じように妻を亡くしたトラック運転手の大宮は幼い2人の子どもを遺して旅立った妻の死に憔悴していた。その様子を目にした幸夫は大宮家へ通い兄妹の面倒を見ることを申し出て・・
本木雅弘、深津絵里、竹原ピストル、藤田健心、白鳥玉季、堀内敬子、
池松壮亮、黒木華、山田真歩、松岡依都、岩井秀人、康すおん、戸次重幸、
淵上泰史、ジジ・ぶぅ、小林勝也  他 出演
西川美和 監督作


<感想>
「人生は他者だ」 結局、永遠に永い言い訳をしながら
これからも疎外と共に生きて行くしかないのだろうなと夏子のものを
段ボールに詰める幸夫のその後ろ姿はどこか寂しくてどこか滑稽で。
瞬間瞬間を大切にしてこなかった罰と、気がついた本当の気持ち。
夏子が生きていた時には彼女の人生を大切にしてこなかったくせに
いなくなって生の時間に自分だけ取り残されて宙ぶらりんになって
そこから気がついたって時すでに遅しで、
もう、ひとかけらも愛していない思いを抱かせ逝かせてしまったけれど
その償いのように夏子の親友の遺された家族たちと日々を過ごしていくうちに
幸夫が自分でも思いもよらない沸き上がってくる感情が出てきてしまう
あの過程にこの映画の醍醐味があるのだなと静かに痺れてしまったのでした。
他者によって気がつかされる、他者とかかわってこそ人生になる。
そうか、そうだよなあ・・と思わず泣きそうになってしまったし
灯ちゃんが幸夫にくれた幸夫がいない海での写真がまたグサリときてしまう。
でも、彼はなんだかんだと出逢いや日々をネタにしながらも
泣きながら本を書くことによって救われていくのだと思う、きっと。

それにしても、テレビ局の態度がやけにリアルで面白かった。
あぁいうドキュメントのように作る番組や、旅番組にしても
ついつい裏側を想像してしまうので、カメラの前で泣いたり
もの思いにふけるようなことをするような出演者って胡散臭くて
その裏側がよく出ていて、笑える場面にしていて、絶妙だったし
ぶちまけた本音は放送されないというのも皮肉で面白かった。
そういうのも含めて、最低だったり、ダメダメだったり、
切なかったりしてしまう全然完璧じゃない幸夫という存在を
少し離れたところからつかず離れず見捨てずに見つめているような
この映画のどこかカラリと辛辣にならないこざっぱりした視点が好きです。
手放してしまったことはあまりにも大きすぎたけれど
皮肉にもそれによって出逢えた出逢いもあるのだから・・
それを大切に。今度こそ、大切に。


DVDにて鑑賞



 

 「ボーダーライン」(2015年・アメリカ)

<あらすじ>
巨大化するメキシコの麻薬カルテルを殲滅するため、米国防総省の特別部隊にリクルートされたエリートFBI捜査官ケイトは、謎のコロンビア人とともにアメリカとメキシコの国境付近を拠点とする麻薬組織撲滅の極秘作戦に参加する。しかし、仲間の動きさえも把握できない常軌を逸した作戦内容や、人の命が簡単に失われていく現場に直面し、ケイトの中で善と悪の境界が揺らいでいく・・・
エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、ヴィクター・ガーバー、
ジョン・バーンサル、ダニエル・カルーヤ、ジェフリー・ドノヴァン 他 出演
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作


<感想>
この映画で人が無残に吊るされている場面を観た瞬間
黒澤監督の『用心棒』で犬が手首をくわえている場面を思い出す。
主人公のケイトはそういう場所に行ったのだというのを
映像ひとつでガツンと納得させられると同時に
観終わってみれば、個人の恨みをはらすための道具でしかなかったという
存在でしかなかったケイトと同じ気持ちになり悶々としてしまって
アタシも、デルトロ兄さんを後ろから撃ちたくなる気分になったのだった。
いや、でも、監督の演出力ってスゴイなあ。
だって、あらすじだけだと三行で終わっちゃうような
もう、何十年も前から繰り返し映画で描かれているような
B級映画にだってよくあるような内容だというのに
最後まで緊張感もたせる社会派サスペンスにしちゃっているんだものね。

永遠に一緒にサッカーを することがなくなった父親の帰りを待つ少年。
その少年も父親が亡くなったことを知り、
その経緯を知れば恨みを持つかもしれない。
消えない闇がいつまでも呼吸をしているような、 そんな苦い後味だった。


DVDにて鑑賞



 

 「ブルックリン」(2015年・アイルランド、イギリス、カナダ)

<あらすじ>
1950年代、アイルランドの小さな街。エイリシュ・レイシーは不満を抱えながらも食料品店で働きながら、母と姉ローズの3人で静かに暮らしている。妹の将来を思い、エイリシュにニューヨークで働けるよう計らうローズ。家族と故郷に別れを告げ新天地へと旅立ったエイリシュだったが、彼女を待ち受けていたのは慣れない生活とホームシックで涙に暮れる日々。そんなエイリシュを救ったのは、同郷の神父の勧めで通い始めた大学での学ぶ喜びと、誠実なイタリア系アメリカ人トニーとの出会いだった。そして・・・
シアーシャ・ローナン、エモリー・コーエン、ドーナル・グリーソン、
ジム・ブロードベント、ジュリー・ウォルターズ、フィオナ・グラスコット、
ジェーン・ブレナン、ブリッド・ブレナン 他 出演
ジョン・クローリー 監督作


<感想>
「忘れていた、ここはそういう町だった」
その瞬間、あぁ、すごくいい映画だなと思う。
ひとりの女性の成長ストーリーのようにも思えて
様々な差別や憤りを静かに描いている映画でもあって。
それは時代は関係なく今も続いている人間の根っこにある差別。
エイリシュだけではなくて優しい姉や母、
彼女の幼馴染やアメリカでの寮の仲間や
アメリカで働いて色んなものを造ったのに
無職にさせられてしまったアイルランドの人たち
そうやって生まれてから生きてきた日々の中で
いつの間にか線引きされる人生を送ってきた人たちの話でもある気がした。

行きの船の上で出逢った女性に
「他人と話すのもいいものでしょ」と言われる場面がとても好き。
「私の名前はエイリシュ・フィオレオ」
すっと背筋が伸び、前を向くような瞬間。
自分で歩いていける、どこまでも。優しいトニーも待っている。
と同時に、なぜだかほんの少しだけ
言葉に出来ない小さな小さな不安の後味がする。
この不安感はなんだろう、ハッピーエンドなはずなのに。


DVDにて鑑賞



 

 「アイアムアヒーロー」(2016年・日本)

<あらすじ>
画家アシスタントとしてパッとしない日々を送る、35歳の鈴木英雄。そんな彼の恋人が、人間を凶暴に変貌させるウイルスに感染して襲い掛かってくる。慌てて趣味の射撃で所持する散弾銃を手に外に飛び出す英雄だが、街はZQNと呼ばれる感染者であふれていた・・
大泉洋、有村架純、長澤まさみ、吉沢悠、岡田義徳 他 出演
佐藤信介 監督作


<感想>
原作は読んでいないのだけれど
アクションコーディネーターがド兄さん組の下村さんだし
脚本は逃げ恥の野木亜紀子さんということで、ちょこっと気になっていました。
前半に主人公の恋人がウイルス感染した後に
普通の街並みに感染者たちが淡々と襲ったり襲われたりしている光景は
なかなか面白くてこれからどんどん盛り上がるのだろうなと期待しつつ
結果的に一ヶ所に落ち着いての対決になってしまったのだった。
でも、あの隠れていたロッカーから助けの声を耳にしてから出て行こうとする
勇気と怖さの狭間で苦笑いしちゃうくらいのしつこい巻き戻しな描写や
世界がひっくり返っても何も変わらないと思っていた主人公が
誰かのために命をかけぶっ放すというのは気持ちいいし
ゾンビの破壊っぷりや走り高跳びのゾンビも面白かった。
けれど、日本映画にしては頑張っているねぇ、とついつい思ってしまうのだ。
これはつまり結局どっぷりハマれなかったという証拠でもある。
やっぱり、そんな風に思う暇もなく映画の中に連れて行ってほしい。
気がつけばうっかり夢中になってしまいたいのだもの。
もちろん、観る側の体調やその日の気分や環境にもよるのだけれど。


DVDにて鑑賞



 

 「哭声 コクソン」(2016年・韓国)

<あらすじ>
平穏な田舎の村に得体の知れない“よそ者“が移り住む。謎めいた噂話が広がるにつれて、村の住人が家族を虐殺する異様な事件が多発するようになる。一体村人に何が起こっているのか? 村の警官ジョングは“よそ者“に疑惑の目を向け、追い詰めていくが・・
クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村隼、チョン・ウヒ、キム・ファニ 他 出演
ナ・ホンジン 監督作


<感想>
※映画館でも公開中のところもあるのでちょこっと文字反転の場所あり

よくわからないんだけど、なんだか面白かったというのは
こういうことなのだろうなあと、すぐに巻き戻して
リピートしたくなる、で、これは、つまり・・・
國村さんの手、それはキリストのようなもんだよってことなので・・せうか?
ってかラストに祈祷師役のジョンミン兄さん写真撮っていたので
もしかしてふたりはグル
ってことなの?
って、そんなことよりも怖いよ、あのジョングの娘役の
子役の俳優さんの演技がうますぎて撮影後も無事なのか心配になるレベル。
よそ者扱いの國村さんよりも、何かにとり憑れてしまうように
噂や偏見で妄想がふくらみ決めつけてしまう人間の怖さを
一見温和そうなジョング役のクァク・ドウォンさんが体現していて
なんなんだ、この映画はどこに着地するのだと
ガサガサと耳鳴りがしそうな思いで観入ってしまったです。
あぁ、ひさびさに『エクソシスト』を観たくなってきちゃったなあ。


DVDにて鑑賞



 

 「ハハハ」(2010年・韓国)

<あらすじ>
カナダへの移住を決意した映画監督ムンギョンは、先輩の映画評論家チュンシクと飲むことに。偶然にも同じ時期に港町トンヨンを訪れていた2人は、旅先でのさまざまな出会いや恋をそれぞれ語りはじめる・・
キム・サンギョン、ムン・ソリ、ユ・ジュンサン、キム・ガンウ、
イェ・ジウォン、ユン・ヨジョン 他 出演
ホン・サンス 監督作


<感想>
「ハ」は韓国語で「夏」という意味らしくて
『夏夏夏(ハハハ』というタイトルからして面白い。
すべての登場人物がすれ違いながらも繋がっているのに
それを知っているのが観客だけという絶妙さがたまらない。
女は今そのものの感情を生きていてサバサバしていて
男は何かに依存してあわよくば誰かに決めてもらいたくて
愚痴愚痴しているだけなのに、なぜこんなに面白いのでしょう。
ダサいようで洒落ているようで、奇妙なリズム漂う不思議。
とりあえず、マッコリがとっても呑みたくなてきました。


DVDにて鑑賞



 

 「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」(1973年・日本)

<あらすじ>
実父の七回忌に柴又へ帰った寅さんだったが、さくらの欲しがるピアノのことで恥をかかされたと出て行ってしまった。それから北海道・網走で三流歌手・リリーと仲良くなり、堅気になろうと酪農家の手伝いを始めるが、三日目で熱を出し、さくらに引き取られ柴又へ戻った。そこでリリーと再会して・・
渥美清、浅丘ルリ子、倍賞千恵子、笠智衆、松村達雄、三崎千恵子、
前田吟、太宰久雄、佐藤蛾次郎 他 出演
山田洋次 監督作


<感想>
どうでもいいけれど、ひとこと言いたい・・
めぐみちゃんと労働者諸君の描写はアレでいいのでせうか!(笑)
いえ、だって、ウブさにもほどがあるし、怖いし、皆。
これはつまり下着姿のハイジが山を駆け巡っている怖さと似ているくらい(謎笑)
昔の映画でコメディとはいえ江戸川の土手の場面が
ひじょーにエキセントリックで目が点になったガオです(笑)

でも、寅さんの運命の人、リリーさん登場のお話。
ヤクザな似た者同士の泡のようなふたり。
最終的に寅さんとリリーはケンカをしてしまい
気になった寅さんがリリーのアパートを訊ねていくと
すでにリリーは引っ越してしまっていて。彼女がいない部屋で
何気なく寅さんが向こう側を見つめ、あぁ、他の家族たちの楽しそうな声や
匂いがするこの部屋にいるのは、リリーは寂しかったろうな・・と察する
あのなんともいえない切ない感じがたまらなくてジーンとくる。
別れたけれど、互いに両思いだった。でも恋人になれないふたりなのね。

寅さん印の渥美さんの魅力満載なのはもちろん
ヒッピーぶりがとんでもなく板についている浅丘さんが素敵です。
でも、思った。寅さんって、続けて観るもんじゃない(笑)
年に一度か二度、映画館に逢いに行くからいいんだと思う。
毎日観ていたら、色々イラつくもの(笑)
だけど、しばらく観ないと逢いたくなる、それが寅さんなのだ。


BSにて鑑賞



 

 「男はつらいよ 寅次郎夢枕」(1972年・日本)

<あらすじ>
寅さんが柴又へ帰ると二階に御前様の甥で大学の助教授・岡倉が引っ越して来た。インテリ臭さが気に入らないが、幼馴染みで美容院を開店した千代に会いすっかりご機嫌。その千代に岡倉が一目惚れし、寅さんがこれを面白がり悪ふざけして岡倉は寝込む始末。岡倉の気持を知った寅さんは千代に代理で告白するが・・・
渥美清、八千草薫、倍賞千恵子、米倉斉加年、笠智衆、田中絹代、松村達雄、
三崎千恵子、前田吟、太宰久雄、佐藤蛾次郎 他 出演
山田洋次 監督作


<感想>
今回は米倉さん演じる助教授の片想いで
寅さんが実は両思いだったのに気の回しすぎで結ばれず、という
もう、寅さん、何やってんだよな話。
それにしても八千草さんが可愛い。めちゃくちゃ可愛い。
そして何気に田中絹代さんの旅人を思いやる佇まいが渋い。
というか、こういうのを豪華出演達勢ぞろいっていうんだよなあ。
そして、いつ観ても渥美さんのセリフ回しがカッコイイ。


BSにて鑑賞



 

 「ドライヴ」(2011年・アメリカ)

<あらすじ>
天才的なドライビングテクニックを持つ寡黙な男ドライバーは昼は映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を請け負うプロの逃がし屋をしていた。ある晩、仕事を終えたドライバーは同じアパートに暮らすアイリーンと偶然乗り合わせひと目で恋に落ちる。そして・・
ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン、ブライアン・クランストン、
クリスティーナ・ヘンドリックス、ロン・パールマン、
オスカー・アイザック、アルバート・ブルックス 他 出演
ニコラス・ウィンディング・レフン 監督作


<感想>
観るのは二度目。
一度目は途中で脱落してしまったので
ゴズリン愛があるうちにもう一度仕切り直して観てみた。
この独特な雰囲気。B級チックなのにチープにならない不思議。
ゆらゆらと夢の中の出来事のような残酷。
暴力の描写はかなりグロイのにどこか乾いている冷静さは
『オンリーゴッド』の時は気持ち悪かったけれど
この映画はそれがやけにハマっていて、
ラストなんかは、ちょっと北野映画の『ソナチネ』を思わせ
あぁ、きっと逢えないんだろうなあ・・と静かに沈んでいく気持ちになる。
そして、やはり、エレベーターの場面は忘れられない。
奇妙な後味。でも、ずっと食べていたい味だった。


DVDにて鑑賞



 

 「ラースと、その彼女」(2007年・アメリカ)

<あらすじ>
幼いころのトラウマから人とのつながりを避けて生活し、毎日地味な仕事に従事する青年ラース。そんなある日、彼はガールフレンドを連れて自分を心配する兄夫婦と食事をすることに。しかし、ラースが連れて行ったガールフレンドとは、インターネットで注文した等身大のリアルドールだった・・
ライアン・ゴズリング、エミリー・モーティマー、ポール・シュナイダー、
ケリ・ガーナー、パトリシア・クラークソン、R・D・レイド、ナンシー・ビーティ、
ダグ・レノックス、ジョー・ボスティック、リズ・ゴードン、ニッキー・グァダーニ、
カレン・ロビンソン、マックスウェル・マッケイブ=ロコス 他 出演
クレイグ・ギレスピー 監督作


<感想>
みんな、優しいなあ。
ラースが元々いいヤツだったからという根本があるから
その人が少し心のバランスを崩してしまった時に
支えてあげたいと思えるのかもしれないけれど
現実ではなかなかこうはいかない、
だってリアルドールを本気で恋人だという人がいたら
茶化して距離おくか酷い場合は頭がオカシイという扱いをして
露骨に彼そのものを排除するんじゃないかしら。
けど、精神科医が言っていたこれは精神疾患ではなく
彼にとっては必要な妄想だから話をあわせてあげて、ということ
そのことがこの映画のすべてな気がした。

誰かが苦しみから立ち直りたい時にその人にとっては必要なことなら
それに寄り添って静かに見守ってあげることが出来たなら・・
無理矢理元気にさせるのではなくて、もちろん無視しているわけでもなくて
こんな風に思いやりを持てたなら、ひとりをひとりとして大切に出来たのなら
多くの人が救われるのでは・・そんな広がりを観せてくれた気がした。
最初はヘンテコリンなコメディなのかと思って観てみたら
最後には温かな何かが咲いた気がするようなそんな映画でした。


DVDにて鑑賞



 

 「マラヴィータ」(2013年・アメリカ、フランス)

<あらすじ>
フランス・ノルマンディーのとある田舎町に、アメリカ人のブレイク一家が引っ越してきた。彼らは一見ごく普通のアメリカ人の一家のようだが、実は元マフィアで、家族ともどもFBIの証人保護プログラムを適用され、偽名を名乗って世界各地の隠れ家を転々としていた。 そんなワケありのブレイク一家の所にフレッドに積年の恨みを抱くマフィアのドン・ルッケーゼが一家の居場所を突き止め、殺し屋軍団を送り込んできて・・・
ロバート・デ・ニーロ、ミシェル・ファイファー、ディアナ・アグロン、
ジョン・デレオ、トミー・リー・ジョーンズ、ジミー・パルンボ、
ドメニク・ランバルドッツィ、スタン・カープ、ジョン・フレダ 他 出演
リュック・ベッソン 監督作


<感想>
スコちゃん製作総指揮でデニーロなら観てみたいと思って観たけど
思えばこの映画の監督、リュック・ベッソン監督・・
大好きな映画『グランブルー』や『ニキータ』や『レオン』の監督
何年か前に引退するって言っていたはずなのに
ちゃっかり色んな映画撮っているじゃないのさ
思えばいつだったか最後のジャッキー・チェンって言って
何か公開されたことがあったジャッキーにしても
新作公開されまくっているじゃないのさ(苦笑)
監督も俳優も時々、引退、引退って騒ぐけど
それって、閉店大セールと言いながら
何十年もやっているお店の感覚と似ている気がしたわ。
もう、勝手にしてくれって思いでいっぱいになったよ・・って
そんなことより、この映画、なかなか面白かったんです、けど
観終わった後、なーんにも残っていない!(笑)
わんこがカワイかったことと『グッドフェローズ』ネタと
ミシェル姐さんが スーパー爆破しちゃうとことかしか憶えていない(笑)
だけど、観ている間はなかなか楽しかった。
何よりデニーロ、ミシェル姐さん、トミー・リーさんたちが
肩の力を抜いた魅力で健在ぶりを観せてくれるのが嬉しかったのだった。


CSにて鑑賞



 

 「タミー」(2014年・アメリカ)

<あらすじ>
イリノイ州の田舎町で暮らすタミーは、ポンコツ車で事故を起こした直後にハンバーガー店での仕事をクビになり、さらに夫の浮気現場まで目撃してしまう。お金も車も帰る場所もなくした彼女は、祖母パールの車で一緒にナイアガラの滝を見に旅に出るが、行く先々でトラブルに巻き込まれてしまい・・。「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」などで人気のコメディ女優メリッサ・マッカーシーが主演・脚本を務めたコメディ。
メリッサ・マッカーシー、スーザン・サランドン、アリソン・ジャネイ、
ゲイリー・コール、ダン・エイクロイド、 キャシー・ベイツ  他 出演
ベン・ファルコーン 監督作


<感想>
なかなかな豪華メンバーが揃っている映画なのに
日本では未公開だった模様。
テルマ&ルイーズよろしくな感じでルイーズが生きていたら
こんなおばあちゃんになっていたかもなスーザン・サランドンさんと
タミー役のメリッサさんとのやりとりにイライラしながらも
ついつい観てしまう地味な面白さがある。
人生色々あるけれど文句や恨みを持っている暇があったら
好きなことを見つけて生活を改めて自分らしく頑張ろうという
そういう所に映画が着地していて、ドタバタながらもなかなかいい感じ。
そうだよね、アタシもそういうところあるけれど
何かあると他人や世の中を恨んでしまう時があるけれど、
でも、そんなところに自分の力を注ぐには人生は短すぎるもの
それよりどんなことでもいいから好きなことを見つけて
それに一生懸命になれる時間を過ごせたらどんなに幸せだろう。
冒頭の流れからして、ここに辿り着くとは。
タミーを通じて色々思えるこの映画の身近な距離感さが好感でした。


CSにて鑑賞



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