ウチでゆっくり映画観るのもいいもんだよね。
*にゃんこマークが、5:永久保存、4:大好き、3:キライじゃないけれど上から別の映画入れちゃえ、2:早送り、1:消去

 

 「ワレサ 連帯の男」(2013年・ポーランド)

<あらすじ>
1970年12月、物価高騰に対する労働者たちの抗議行動を政府が武力で鎮圧する事件が起こった。両者に冷静になるよう呼びかけていたワレサは検挙され、公安局に協力するという誓約書に署名を強いられる。家族とともに質素な生活を送っていたワレサだったが、この事件以降、一家は歴史的な転換期に深くかかわることになる。ワレサ自身も次第に政治的感性を発揮し、リーダーとしての自覚も芽生えていく。そして80年8月、レーニン造船所のストライキ指導部のトップに立ったワレサは、「連帯」委員長として自由と権利のために戦う反体制の象徴になっていく・・
ロベルト・ビェンツキェビチ、アグニェシュカ・グロホウスカ、
マリア・ロザリア・オマジオ、ジョバンニ・パンピグリオネ 他 出演
アンジェイ・ワイダ 監督作


<感想>
レフ・ワレサ(レフ・ヴァウェンサ)氏の名前は知っていたし
彼のことを映画化するならワイダ監督しか思い当たらないので
観たいとは思っていたもののこういう映画でいつも思うのは、
その国の歴史や人物に物凄く思いれがないと、映画の中に
入って行くのがちょっと難しいというか・・連帯への苦労とか
彼がやたらと尊敬されるまでのいきさつとかがイマイチぼやけていたというか
でも、でも、奥さんの大変さは手にとるように感じたし
ほんとに、あんなに勝手に部屋に入りこまれたら
アタシもキレちゃうよ、ヤダ、マジで!(苦笑)
あとはどうでもいいのかもしれないけれど「リッチマンプアマン」という
テレビ番組を皆が必死に観ていた場面が気になりました。
結局、最後のワシントンDCでの
「今度は別の人々が壁を壊すでしょう。 自由は人間の権利だからです」
というスピーチの後のスタオベで、ちょっと感動という、
そこだけで感動なのでそれまでの映画の流れよりも、
その何秒か何分だけ観ればヨカッタということになってしまい
そこんとこどうなの、巨匠!って、ついつい聞いてみたくなった・・・。
アンジェイ・ワイダ監督の映画は大抵好きですがこれは・・
というか、アタシの理解度の問題なのでせうね、きっと。
とにかくチフスが発生しているので勝手に部屋にはいらないで
・・ってことですよ(苦笑)


CSにて鑑賞



 

 「歩いても 歩いても」(2008年・日本)

<あらすじ>
ある夏の日、元開業医の横山恭平とその妻とし子が2人きりで暮らす家に次男の良多と長女のちなみがそれぞれの家族を連れてやって来る。何気ない団らんのときを過ごす横山一家だったが、この日は15年前に亡くなった長男・順平の命日だった。そして・・
阿部寛、夏川結衣、樹木希林、原田芳雄、田中祥平、YOU、高橋和也、野本ほたる、
林凌雅、寺島進、加藤治子 他 出演
是枝裕和 監督作


<感想>
歩いても、歩いても小舟のよぉぉに・・・そうですか、
歩いても歩いてもってブルーライトヨコハマなのですか・・
よくわからんのですが、確かにトウモロコシの天ぷらは美味しそうですね。
でも、ウチは貧乏なので、あんなにたっぷり油使えません(笑)
まぁでも、昔はアレか、油何度も漉して使ったかもね。
その名残であんなにたっぷり使うのかね。母が作る料理たち、
口下手な父、兄ばかり注目されていじけて大人になった次男、
色々秘密がある女たち・・・それでも優しい兄の命日に皆で集まって
小さなヒビや傷や毒はあれど、和やかに時は流れ、
結局、行けずじまいだったサッカーと乗せてあげられなった車を
少し後悔しつつも元気なうちには親の顔を見にいけ、
でも、お互い温度差があるな、そこが切ないなってことなのでせうか・・
あぁ、イヤだ、こんな気どったノスタルジー。作られすぎたノスタルジー。
いや、えっと、いいんですけどね、これ、ほんとに是枝監督の映画なの?
アタシ、彼の映画なのでなんの疑いもなく録画して観たんだよ。
公開時に観に行けなかったけれどCSで放映されていて
かなり評判もヨカッタから期待とかそれ以前の気持ち、信頼ってやつで。
だって『誰も知らない』『空気人形』『そして父になる』・・
出逢った映画全部ヨカッタからそうなると無防備になるし、
是枝監督=好きってことになり、なんの抵抗もなく観たのだよ、
そしたら、転んでしまった。それも大きな擦り傷作るくらいにべちゃっと転んだ。

なんかね、皆色々あるけど、一緒に集まるっていいね、って言う感じの
こういう映画、一番嫌いなんだ、まるで良く出来たファミリー保険CMの
寄せ集めかよってな。しかし、最近、邦画でこういう映画多い。
一見、癒し系の映画・・もう、甘ったれすぎて、嘘くささ全開で、ダメだ。
キツイのだよ、いい加減その路線やめませんかね。しかも、必ず、葬式か命日。
そう思うと伊丹監督の『お葬式』とイム・グォンテク監督の『祝祭』は傑作だった。
どちらもお葬式に集まる人たちを描いた映画だけれど、このくらいの力技で
ガッツリと人間模様を描いてくれないと映画として観てられんのですよ。
でも、樹木希林さん演じる母親が兄が助けた子が命日に
お線香あげに来る時のあの心情には心の闇を感じるし、
ある意味、共感も出来たりもしてね、あそこはこの映画の中で
唯一気持ちが映画と向き合った感じになれたけれども。
・・っていうか、よくよく思えば是枝監督の新作の『海街diary』も
家族たちが命日のような、葬式のような時に集まる話だよねぇ・・・
でも、メイキングのようなものを観た時は監督が成瀬映画に拘ってくれていたり
捨てられた子供や血のつながらない家族などに拘っているのもわかって
ちょっと面白そうとは思ったのですが・・・『歩いても 歩いても』の
後遺症があるので、どうしよう(爆)だけれど、逆に、ここで転んだせいで
ヘンに信用しすぎずに冷静に映画に向き合えていいかもしれない。
なのでせっかく気にしたのだから新作も観に行く気持ちはあるよ。
いやいや、それにしても、なんだか、勝手に好きになった男に
勝手に裏切られたような、そんな気分になった映画でした・・(笑)
ある意味ウチで観てよかった。映画館で観てたら立ち直れなかったかも(泣)


CSにて鑑賞



 

 「それでも夜は明ける」(2013年・アメリカ、イギリス)

<あらすじ>
1841年、奴隷制廃止以前のニューヨーク、家族と一緒に幸せに暮らしていた黒人音楽家ソロモンは、ある日突然拉致され奴隷として南部の綿花農園に売られてしまう。狂信的な選民主義者エップスら白人たちの非道な仕打ちに虐げられながらも彼は自身の尊厳を守り続ける。やがて12年の歳月が流れソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会い・・。 1853年発表の1841年にワシントンD.C.で誘拐され奴隷として売られた自由黒人ソロモン・ノーサップによる奴隷体験記「Twelve Years a Slave」を映画化。
キウェテル・イジョフォー、ルピタ・モンディ・ニョンゴ、マイケル・ファスベンダー、
ベネディクト・カンバーバッチポール・ダノ、ポール・ジアマッティ、サラ・ポールソン、
アルフレ・ウッダード、クヮヴェンジャネ・ウォレス 他 出演
スティーヴ・マックイーン 監督作


<感想>
子供の頃から嫌いだった、名作と言われる『風と共に去りぬ』
確かにスゴイ映画だけれど、あの中でまるでペットのように扱われている
黒人の存在に子供心に疑問に思ったものだった。時代が時代だけに
そういう映画なのだと言われても、なんだか好きになれなかった・・・
そんなことをこの映画を観終わって、ふと、思い出したのでした。

この映画が昔話ではないのだと思えたのは他でもないブラピ演じる
流れ者のカナダ人の大工サミュエル・バスの存在。
彼が正論を放つ場面で、どこか絵空事にように聞こえてしまったのは
この映画への製作を頑張ってくれたブラピの願いが
全うであればあるほど現在もこの世界はあまりにも
足踏み状態だったということを突き付けられてしまうからだろう。
ソロモンは奴隷から解放されたとしても、 自由黒人という存在でしか生きられない。
自由と自由じゃない黒人。それを同じ人間が決める。恐ろしい。
彼は「ただいま」ではなく「今更帰ってきて申し訳ない」と泣いた。
その、申し訳ないという思いを抱かせてしまう残酷さ。
拉致されて酷い仕打ちをうけた被害者なのに法律にもそっぽを向かれ
何も解決していないこの映画の投げやりな結末があまりにも哀しかった。
せっかく家に戻ることが出来ても結果的に彼は死因がわからない死に方をしている。
それについては深く記してくれていないものの想像がついてしまう虚しさが辛い。
恐ろしく愚かで同じ過ちを繰り返す学ばない生きもの、人間。
足をついたら首つりにされそうなのを必死にしのいでいる
ソロモンの傍で、まるでその状態が当り前の景色のごとく
無邪気に遊ぶ子たちの場面が今の世の中とリンクする気がした。

いつの日かブラピのセリフに素直に感動出来る日がくるのだろうか。
正論が絵空事に聞こえてしまう、この日々がいつか終わればいいのに。
そう思いながら都合よく他人事や昔話にしてしまうのも人間たち。
それでも思う、胸に刻まなければいけないこと。
この物語は他人事や昔話ではない、ということを。


CSにて鑑賞



 

 「her 世界でひとつの彼女」(2013年・アメリカ)

<あらすじ>
近未来のロサンゼルスで、セオドアは相手に代わって思いのたけを手紙にしたためる代筆ライターをしていた。長きにわたり共に生活してきた妻キャサリンと別れ、悲嘆に暮れていた彼はある日、人工知能型OSサマンサと出会う。次第にセオドアは声だけで実態のない彼女の魅力のとりこになり・・。
ホアキン・フェニックス、エイミー・アダムス、スカーレット・ヨハンソン、
ルーニー・マーラ、オリヴィア・ワイルド、クリス・プラット  他 出演
スパイク・ジョーンズ 監督作


<感想>
なるほど、こういう話だったのか。
SFというより、どことなく今でもありそうな世界観。
だって、地下鉄の階段をあがってくる人たちが
スマホを観ながらニヤニヤしてやってくるのって
今日も街の彼方此方で観たよ・・って思った(笑)
サマンサと名付けた人工知能型OSと恋をしてしまう主人公のセオドア。
映画の中のOSはホントに優れていて、声だけでなんでも出来ちゃう。
思えば、内容的には人間同士じゃないという以外はラブストーリー。
そんな恋物語の中セオドアの仕事が手紙の代筆というのが面白い。
おまけに文章の才能があったので、その代筆が書籍にまでなってしまうし。

OSのサマンサにしてみたら、セオドアは多くのユーザーの
ひとりでしかないけれど、それでも互いに特別な感情を持ったことは確かだった。
そして、OSと生身の人間は違うけれど宇宙からみたら同じちっぽけな存在。
それでも、やはり「あなたのものだけど皆のものでもある」ことを
受け入れることが出来ないのが人間。だけれど、すべてのことに
内側で閉じこもっているように観えていたセオドアは
一番閉じているように観えるOSとの体験によって解放されていた。
閉じていた気持ちが開いてすべてを受け入れたように観えた・・
そんな風に感じながら冒頭ではイマイチ似合わないと思っていた
ホアキンさんの口髭にやっと慣れたと思ったらエンドロールなのでした(笑)


CSにて鑑賞



 

 「野獣死すべし」(1959年・日本)

<あらすじ>
伊達邦彦は大学院の学生。秀才、勤勉、誠実というのがもっぱらの評判であったが信じるものは金と武器、圧倒的な力。心の底に憎悪と怒りを燃やす伊達はボクシングや射撃、特殊技術の習得を課し自らを鍛え上げるのだった。やがてもたげる完全犯罪への野望。そして・・。大藪春彦原作の初映画化作品。
仲代達矢、団令子、佐藤允、白川由美、小泉博、東野英治郎、
中村伸郎、滝田裕介、三好栄子 他 出演
須川栄三 監督作


<感想>
やはり『野獣死すべし』と聞くと松田優作さんの熱演を通り越した
あまりにもやりすぎな濃さを愛でながらも、色々つっこむ映画として
思い出す方も多いはずだし(どんな映画だ・笑)、鹿賀丈史さんの
危ないギラギラ感は、そりゃもう凄かった印象なのだけれども、
今回1959年版の仲代達也さん主演の『野獣死すべし』を初めて観て思うのは
もう、全然違うのね・・というか優作さん版のは全部が優作さん節に
なってしまっているので、良くも悪くも優作さんファンにしか
楽しめない映画になってしまっているけれど(もちろん愛してます・笑)
仲代さんのはスタイリッシュなキリリとした1本の映画になっておりました。
昔の映画なので拳銃の音がダサいのだけれど 映像がめちゃくちゃカッコイイし
ラストはまるで『太陽がいっぱい』みたいにその野獣の笑顔が
消えるはずだと思わせるものになっていて渋い。
それにしても最初の方でバーで飲んでいる時に花売りのおばあさんに
お金をちらつかせて無理矢理歌わせ踊らせる場面の仲代さんの
瞬きしないつくりもののような瞳の表情、怖かった。忘れられないです。


CSにて鑑賞



 

 「リッチーとの一日」(2012年・アメリカ)

<あらすじ>
人生に絶望したのか、自宅の風呂場で手首を切って自殺しようとしていた青年リッチーだが、あまり会わない姉妹のマギーから急に電話がかかってきて、その幼い娘ソフィアの面倒を一晩だけみるよう頼まれ、これを引き受ける。実はかつてソフィアにけがを負わせそうになったせいでリッチーはマギーやソフィアと疎遠になっていたが・・・主人公を演じるショーン・クリステンセンが脚本、監督もつとめている。
ショーン・クリステンセン、ファティマ・プタセック、キム・アレン 他 出演
ショーン・クリステンセン 監督作


<感想>
いきなり、バスタブの中で自殺をしようとしている時に
電話がかかってきて妹の子供を預かるはめになり・・という展開で
自殺未遂→姪っ子のソフィアを預かる→最初はギクシャク→
ソフィアと疎遠になった原因を話すとソフィア笑ってくれる→
ボーリング場でダンス→パラパラ漫画→実は妹のマギーも闇を抱えていた→
頑張って励ます→しかし独りになるとまた自殺したくなる→
再び電話のベル・・30分弱の短編映画の中で生きる切なさと
ちょっとした生きる勇気を優しく描いていて好感でした。
でも意地悪なアタシはわざわざ電話を傍において
自殺をしようとするなんて、やっぱり、未練があるのだろうねぇ
・・とか、つっこんじゃうんだけれどね(笑)
でも、電話のベルを無視出来ないことも人間の性なのかも。
繋がりたいんだよね、きっとね。


CSにて鑑賞



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