ウチでゆっくり映画観るのもいいもんだよね。
*にゃんこマークが、5:永久保存、4:大好き、3:キライじゃないけれど上から別の映画入れちゃえ、2:早送り、1:消去

 

 「地獄でなぜ悪い」(2013年・日本)

<あらすじ>
ヤクザの武藤組の組長・武藤大三は服役中の妻・しずえの夢でもあった娘のミツコを主演にした映画製作を決意する。 映画の神様を信じるうだつのあがらない映画青年・平田純と通りすがりの普通の青年・橋本公次を監督にスタッフやキャストは全員自分の子分のヤクザで構成した。さらに武藤組と対立する池上組の組長でミツコに恋心を抱く池上純と池上組全体を巻き込んで事態はとんでもない方向に進んでいくのであった・・
國村隼、堤真一、二階堂ふみ、友近、長谷川博己、
星野源、春木美香、石井勇気、坂口拓、原菜乃華 他 出演
園子温 監督作


<感想>
やばい。スプラッターな映画愛が満載ではないですか。
これだけ血が海のようにあって手や首が彼方此方飛ぶと
グロいというより勢いあまった芸術している気分になる・・よ(笑)
不思議なダークさと笑いが入り混じりながらも、映画撮りてぇー!!
というノリで、走り続けて辿り着いたクライマックスの
東映ヤクザ映画な世界観にテンションあがってしまったです。
まぁ、とにかく、國村さん、友近さん、長谷川さんと映画な仲間たち、
二階堂さんや星野さんなどなど皆さん濃くて最高なのですが
とりわけ池上役の堤さん!もうね、堤さんの美しくて速い殺陣を
映像に収めてくれただけでもこの映画に感謝でした。
数々の舞台で彼が観せてくれた素晴らしい殺陣って
舞台の一期一会な儚さもあり記憶の奥底におしこめるしかないけれど
映画だったら何度でも観ることが出来るし、
でも本当はもっと長いシーンだといいのに・・と思うので
堤さんが身体が動くうちに、そういう映画をガッツリ作ってほしい。
着流しも色っぽい。というか、ミツコ愛ゆえの顔芸も笑っちゃうけれど
個人的には武藤役の國村さんの仇だと言って録音の方に撃たれちゃった時に
「俺じゃないんだけどな・・」ってのがツボで笑い止まらずです(笑)
そして何より堤さんと山本さんが同じ場面にいたりすると
初期のSABU監督の映画たちやベニサンピットに彼らの演劇を
観に行っていた時を思い出してなんだか地味にうれしかったり・・と、
この映画と全然関係ないところで小さく感動しちゃったです(笑)

血まみれの中、死んだって映画撮りてー!!の勢いあふれる映画バカな
長谷川さん演じる平田はまさに園子温監督そのものなのかもしれませんね。
そんな監督が爆発してくれた血だらけの世界を曲者な演者たちが
走り抜け斬り蹴り撃ちまくり、まるで映画の麻薬を飲まされたみたいな気分になる。
名作なのか傑作なのか怪作なのか全然わからないけれど
何度でも観直してみたくなる奇妙な魔力にかかってしまったのだった。


CSにて鑑賞



 

 「鉄くず拾いの物語」(2013年・ボスニア・ヘルツェゴビナ、フランス、スロベニア)

<あらすじ>
ボスニア・ヘルツェゴヴィナに住むロマのナジフとその妻セナダは2人の娘と一緒に暮らしセナダは3人目を身ごもっていた。ナジフは拾った鉄くずを売り一家の生計を支え貧しいながらも穏やかで幸せな生活を営んでいたが、ある日、セナダが激しい腹痛に襲われ病院へ連れて行くと流産し5カ月の胎児はお腹の中で死んでいるのですぐに手術をしなければ命に関わる危険な状態だと言われる。しかし保険証を持っていなかったため、彼らには支払うことのできない手術代を要求され門前払いされてしまい・・・。 『ノー・マンズ・ランド』などで知られるダニス・タノヴィッチ監督がロマ族の一家の実話を基に実際の当事者であるナジフとセナダを出演させ撮影した作品
ナジフ・ムジチ、セナダ・アリマノヴィッチ 他 出演
ダニス・タノヴィッチ 監督作


<感想>
ナジフとセナダと子供2人の4人家族。 この家族がとてもいい感じで、
キリキリせずに仕事がないことを受けとめながら
自分たちの貧しい日々を誰のせいにもせず頑張って生きている。
そういうのは子供にも伝わるから子供たちも
等身大のにこやかさがあって自然体でのびのびしている。
そんなある日、セナダがお腹が痛くて寝込んでしまう。
心配した夫のナジフは病院に連れて行くと セナダは流産していて
すぐに手術をしないと危険ということだけれど保険に入っていなかったので
保険証がないから手術代は彼らにとっては高額で今すぐには払えない。
なのでナジフは分割してもらえませんか?と懇願してみるものの
全額払えないのでは手術はできないと追い返す病院・・・
途方にくれながらもセナダを助けるために奮闘するナジフ。
最終的には妹さんの保険証を借りて手術も出来て
彼女は助かって本当にヨカッタし結果はOKなのだけれど、
でも、何も悪いことをしていないセナダとナジフに
自分のではない妹の保険証を使うという切羽詰まったとはいえ
そういう嘘をつかせなきゃいけない現実に切なくなる。
なんだかね、誰がお金というシステムを考えたのだ
なんで、アタシらは金の奴隷になってしまったのか・・
どうしてこんな世の中になってしまったのか・・って、
もう、心底、すごく、すごく虚しくなった。。
これは遠いボスニアの小さな家族たちの物語だけれど
アタシたちの物語でもあるのだなと思うのです。
すべての人たちに降りかかるかもしれない 目を背けてはいけない物語。


CSにて鑑賞



 

 「ザ・フューチャー」(2011年・ドイツ、アメリカ)

<あらすじ>
恋人のジェイソンと同棲4年目を迎える35歳の女性、ソフィー。ある日2人は、ケガを負った迷い猫を見つけて動物病院に運ぶ。その猫を30日後に引き取ることになった2人は、自分たちの余生にも思いをはせ、この30日の間に自分たちのやりたいことをやろう、と決意する。かくして2人は早速今の仕事を辞めインターネットを解約し、そしてソフィーはダンスの創作、ジェイソンは地球の環境保護にそれぞれ励むようになるが・・・
ハミッシュ・リンクレイター、ミランダ・ジュライ、デヴィッド・ウォーショフスキー、
イザベラ・エイカース、ジョー・パターリク 他 出演
ミランダ・ジュライ 監督作


<感想>
パウパウを引き取りに行くまでの1ヶ月の間に
二人の中に焦りのようなものが生まれ
何かを成し遂げなくてはという思いにかられてしまう。
次第に当り前だと思っていた日々はどんどん違う方向へ。
もしかしたら、1ヶ月の日々がなかったら
気がつかなかったかもしれない本当の自分たち。
なくしてから初めて気がつく手おくれの感触。
二人が迎えに来てくれると信じていたパウパウの思いは
月の向こうへ飛ばされてしまった。
その哀しみは目の前の出来事を怖がって自分で時間を止めて
クサイものにフタをして生きてきた日々の代償なのだろうか。
それでも、辛辣に観えても、どこか温かく感じるのはなぜだろう。
何かをしたいと思っている時は楽しいけれど
実際してみたら、真実をつきつけられる。
ボロボロになることもあれば幸せを見つけられることもある。
停止したままだとなくさなくていいものもなくしてしまう。
だから、成し遂げるのではなくて、そのままのアナタで
歩いて生きていきなさい、傷ついてもそれも人生なのだからと
そんな風に思えてきて・・・
観る前はゆるやかなファンタジーかと思いきや
観終わった後には切ない余韻が残る不思議な映画でした。


CSにて鑑賞



 

 「サイレント・ウォー」(2012年・香港、中国)

<あらすじ>
1950年前後の中国。蒋介石率いる国民党はとう小平率いる共産党との内戦に敗れて台湾に逃れたがその後もなお残党が中国本土で暗躍していた。共産党の諜報組織は彼らの無線電波を傍受し、いったんは暗号の解読に成功するも、それを察知した敵は新たな暗号による通信を開始。かくして共産党の女性諜報員・張学寧は、超人的な聴覚を持つ盲目のピアノ調律師・何兵を組織の助っ人としてスカウトし新たな暗号の解読に挑むが・・・
トニー・レオン、ジョウ・シュン、ワン・シュエピン、メイヴィス・ファン、ドン・ヨン 他 出演
アラン・マック、フェリックス・チョン 監督作


<感想>
やばい。不自然な刈り上げヘアの盲目のトニーさんが・・・
たまらんっ!!(大きな声ですみません・笑)
モールス信号が出てきた時にはヤンたんを思い出し
男ベティブルーかと思わせる場面にうわん!となり
ラストでのカーウァイな音楽にはニヤニヤしてしまい
なんだかトニーさんを可愛くさせるために作ったのかと思うくらい
トニー愛に溢れていた映画だと思いました。
・・って、いや、もちろん、それだけではないのですが(笑)
これは個人的に永久保存っていうね、色々ね。

それにしても映像がすごく綺麗だったなあ。
流れるようなうす暗いブルーと灰色の間のような色合いが
落ち着いた情感と静かな緊張感を漂わせる。
何兵と学寧の深い思いや何兵と沈静の柔らかな優しい愛情、
そして、学寧と局長の控えめな愛情など4人の
それぞれの思いの重なり方がゆっくりと浸透してきて切ないと同時に
なんていうか言葉と言葉の間にある思いにふれることが出来るような
なんともいえない映画全体のリズムがとても好きでした。
ホントに何度観ても、スパイものってやっぱり惹かれてしまう。
同じような話ばかりなのに、飽きないのはなぜだろう。
そういえば列車の中でサングラスをとった何兵トニーさんは
盲目ゆえにあの魅力いっぱいの眸が薄白くなっていた。
それでも深い表情は薄れない。相変わらず目で語ってくれる饒舌な眸。
ま、とにかく色んなトニーさんをありがとうな映画でした(結局そこ・笑)


CSにて鑑賞



 

 「ソウォン 願い」(2013年・韓国)

<あらすじ>
ドンフンとミヒの夫妻は8歳のひとり娘ソウォンを育てているがある雨の朝ソウォンは登校途中、声をかけてきた中年男に連れ去られ傷付けられた上に暴行された状態で見つかり病院に運ばれる。ソウォンは肉体的に重傷を負っただけでなく精神的ショックも大きく犯人と同じ大人の男というだけでドンフンが近づくのさえ怖がる。やがてソウォンの証言によって犯人が逮捕されるが裁判でもソウォンは証言させられることに・・。韓国で2008年に実際に起きた事件がモデルになっている映画
ソル・ギョング、オム・ジウォン、イ・レ、キム・サンホ、ラ・ミラン、キム・ドヨプ 他 出演
イ・ジュンイク 監督作


<感想>
この映画が実話だと知り、気が重くなりつつも
こんなに残酷な事件を描いた映画だというのに
観ていて荒んだ気持ちにならなかった。
人間味溢れる気どりのない喜怒哀楽を丁寧に見つめているので
いつしか登場人物たちと同じように一緒に哀しみ
一緒に憤りを感じ、一緒に胸が苦しくなり涙がこぼれ
まるで同時進行しているかのように気持ちが自然にのっかっていけた。
そして最後には本当の意味での勇気のようなものを目撃する。
ソウォンが僅か8歳で自分が生まれてきた意味を問いながら
乗り越えようにも乗り越えられないくらいの傷を抱えながらも
立ち向かおうとする姿に胸が熱くなる。
「つらい目に遭った人が笑顔でいるのは
 周りの人につらい思いをさせないためだ」
映画ではその後はわからない。ソウォンの名前の意味は「願い」
願わずにはいられない。ソウォン、どうか幸せになってほしい。
あまりにも辛すぎるけれど、あまりにも残酷だけれど・・
本当に願わずにはいられません。誰よりも幸せになってほしいと。。


CSにて鑑賞



 

 「ブルージャスミン」(2013年・アメリカ)

<あらすじ>
ジャスミンはかつてニューヨーク・セレブリティ界の花と謳われた。しかし、今や裕福でハンサムな実業家のハルとの結婚生活も資産もすべて失い、自尊心だけがその身を保たせていた。庶民的なシングルマザーである妹ジンジャーの質素なアパートに身を寄せたジャスミンは、華やかな表舞台への返り咲きを図るものの、過去の栄華を忘れられず、不慣れな仕事と勉強に疲れ果て精神のバランスを崩してしまう。やがて何もかもに行き詰まった時、理想的なエリート外交官の独身男性ドワイトとめぐり会ったジャスミンは、彼こそが再び上流階級にすくい上げてくれる存在だと思い込むが・・・
ケイト・ブランシェット、サリー・ホーキンス、
アレック・ボールドウィン、ピーター・サースガード 他 出演
ウディ・アレン 監督作


<感想>
現代版「欲望という名の電車」という感じ。その傑作戯曲について
劇作家であるテネシー・ウィリアムズ氏はこう言います。
「この話には良い人間も悪い人間も登場しません
 誰もが悪意よりも誤解によって突き動かされているのです」と。
まさに『ブルージャスミン』がそうなのかもしれません。
一見、ケイト姐さん演じるジャスミンだけが愚かで どうしようもない女に観えつつも
登場してくる人たちは皆 自分の都合のいいように物事を見つめている。
特に妹のジンジャーはあまりポリシーがなくてその場しのぎで生き抜く感じで
良い人間も悪い人間も登場しないというのにつながり面白いです。
全体的に大人コメディ調ではあるのだけれどもジャスミンの妄想や
独り会話などの静かな悲惨さはクスクス笑うというよりは
ほんのり苦い気持ちになり次第に身につまされるような気分になってくる。
お金持ちということで一見自分たちとは遠い話に思いつつも
自分の都合のいいことだけを思いこみ見つめるということを思えば
すべての人たちにあてはまることでもあるのかもねと思いながらも
それ以上にケイト姐さんの演技が凄すぎてただただジーっと見つめてしまいました。
映画の中で流れる「ブルームーン」
Blue Moon You saw me standing alone
Without a dream in my heart Without a love of my own・・
その音がまるでジャスミンを残酷という底なし沼に
静かにゆっくり放り投げるように聴こえてくるよう。名曲なのに怖かった。


CSにて鑑賞



 

 「新しき世界」(2013年・韓国)

<あらすじ>
韓国最大の犯罪組織で8年間も潜入捜査を続ける警察官イ・ジャソンは、今や組織のナンバー2である犯罪者チョン・チョンの信頼を得てそのパートナーになったが、内心は早く警察へ戻りたいと熱望している。ある日、組織の会長が急死して、その跡目争いが勃発する。イ・ジャソンの上司カンはこれを組織壊滅の絶好の機会と捉え非情にもイ・ジャソンに潜入捜査を続けるよう命じるとともに新世界と名付けた作戦を開始していく。 そして・・
イ・ジョンジェ、ファン・ジョンミン、チェ・ミンシク 他 出演
パク・フンジョン監督作


<感想>
たとえ嘘の出逢いでも兄弟になれる。
騙されているとわかっても手放せない絆がある。
潜入ものといえば傑作香港映画『インファナル・アフェア』をはじめ
色んなものが出尽くしてはいるものの
こういう懐かしのシンプルさが逆にグっときてしまった。
それにしてもファン・ジョンミンさんは儲け役というか
凶暴なのになんだか好きにならずにはいられないチョン・チョン兄貴を
魅力的に演じてくれているのでジャソンの判断に納得出来てしまう反面
すべてを血で消し去り手に入れたその新しき世界では
果たしてどんな日々が待っているのでせうか。
コテコテのチョン・チョン兄貴とは正反対の
ジャソンを演じたイ・ジョンジェさんの涼やかもいい感じだった。
ま、とにかく、月餅が食べたくなった・・(謎笑)


CSにて鑑賞



 

 「FLU 運命の36時間」(2013年・韓国)

<あらすじ>
韓国。密入国者たちを乗せたコンテナで変種の鳥インフルエンザが発生、ひとり残った生存者をきっかけに感染が広がっていく。一方、突然の新型ウイルス出現に対策は後手後手に回り、ついに拡散を防ぐため街が封鎖されることになった。そんな中、救急隊員のジグは想いを寄せるシングルマザーの女性医師イネの娘ミルが街に取り残されたことを知り、パニックに陥った街にひとり残ってミルや人々を守るべく奔走するのだが・・・
ジグ チャン・ヒョク、スエ、パク・ミナ、ユ・ヘジン、キム・ギヒョン、パク・ヒョジュ 他 出演
キム・ソンス 監督作


<感想>
コンテナで密入国してきた労働者たちから
ウイルスがどんどん拡散していく場面なんかは
『アウトブレイク』の韓国版的なものとして見守っていたし
救急隊員のジグはいい奴だし、パニックムービーお決まりの
政府側はダメダメというノリでお馴染み展開来た来た!って 感じで
やると決めたらとことん盛り込んでド派手にというノリはキライじゃないけれど も
それもやりすぎるとかえって気持ちが離れてしまうのであった。
アメリカ軍まで出てきて勝手に攻撃命令とか
終いには子供が撃たないで!とかね、なんか、もう色々重ね盛りすぎ。
というかスエさんって『炎のように蝶のように』で
明成皇后を演じた時の時代劇な伝統衣装が個人的には
とても印象的だったので普段着姿が新鮮でした。
それこそ『炎のように蝶のように』ではお人形さんみたいだった。
あの映画は正直色々つっこみどころ山ほどあったけれど
無名という青年を演じたチョ・スンウさんが粗野で純粋で素敵でしたので
最後までミーハー心は満たされましたねぇ(笑)
そういうのんがこの映画でもあればなあ・・って
どんどん話が離れていきますね、すんません・・(苦笑)


CSにて鑑賞



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